第二章
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「うちの近くで通り魔事件があったらしいわ」
「えっ、うちの!?」
「そう、このマンションのね」
二人が住んでいる近くでというのだ。
「あったらしいわ」
「物騒だな」
「刺された人は重傷らしいわ」
「助かったんだ」
「けれど犯人は捕まってないから」
それでというのだ。
「注意しないとね」
「じゃあ戸締りはしっかりして」
「外出の時も用心しないと」
「具体的にどうするんだい?」
夫はネクタイを解きながら妻に尋ねた。
「それで」
「警棒かスタンガン持つ?」
護身用にとだ、妻は夫に答えた。
「そうする?」
「警棒か」
「そうする?」
「だったら俺中学高校大学で剣道してたからな」
幸平は妻のその言葉を聞いて言った。
「警棒にするか」
「三段だったわよね」
「今はしていないけれどな」
「だったら警棒買う?」
早速言う若菜だった。
「用心の為に」
「そうするか」
「私もスタンガン持っておいて」
自分のことも考えてふと言った若菜だった。
「それでね」
「身を護るんだな」
「あとぶつけたら匂いがするボールとかも」
そうしたものもというのだ。
「持っておいて」
「そうしてかな」
「用心に用心を重ねて」
そうしてというのだ。
「備えておこうかしら」
「そこまでしてだね」
「だって通り魔が近所にいるって思ったら」
夫の顔を見ての言葉だ、もうテレビの前のソファーから出てあらかじめ用意していた夕食を出しにかかっている。
「危ないから」
「だからなんだ」
「用心に越したことはないわ」
夫を見てこの言葉を出した。
「だからね」
「すぐに用意しておくか」
「そうして、夜道には気をつけてね」
このことを言うのも忘れない若菜だった。
「いいわね」
「君は相変わらず心配性だな」
「だって何かあってからじゃ遅いから」
若菜の性分だ、昔から慎重に慎重を重ねる性格で何事にも備えとチェックを欠かさないことにしているのだ。
それでだ、今も夫に言うのだ。
「あなたもそうしてね」
「わかったよ、じゃあ今日の帰りに」
「そうしたお店に行って」
「買ってくるよ」
「ネットの通販じゃ届くまで時間があるから」
アマゾン等にしてもというのだ。
「一日でもね」
「そしてその一日が」
「ひょっとして、ってなるから」
ものが届くまでに通り魔に襲われるかも知れないというのだ。
「だからね」
「わかったよ、じゃあ今日に」
「ええ、買ってきて」
警棒やスタンガンやぶつけると匂いがつくボール等の護身具一式をというのだ、夫にこう話して送り出してだ。
若菜は家事の後でパートに出た、その時もだった。
若菜は護身用として傘を持って行った、天気は怪しくなかった
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