十 操演の幕開け
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サソリの発言に、チヨはハッ、と眼を見開く。
砂隠れに応援としてカカシが来訪した際も、彼女自身、『木ノ葉の白い牙』と見間違えた。
それほど似ている為に、血の繋がりがあるとは一目瞭然。
よって、『写輪眼のカカシ』や『コピー忍者』として有名なはたけカカシが『木ノ葉の白い牙』の息子だと判断するのは実に容易い。
だが、まさかあのサソリがその点に注目するとは思ってもみなかった。
「チヨ婆よぉ…確かに俺は血の繋がりだとか家族だとか、そういったものには興味はねぇ……────だがな」
砂隠れにいた当時のサソリは天才造形師と謳われ、優れた傀儡を数多くその手で生み出した。
だが一方で、己の芸術として、心血を注いだのが『人傀儡』。
傀儡にした人をコレクションし、芸術作品の一つとする事が、サソリにとっての『永久の美』であった。
何故なら傀儡にした相手は、朽ちない。寿命に縛られない。
死なない。
いくらでも作り直せる。
待つことも待たされることもない。
幼いあの日、『木ノ葉の白い牙』に殺された父と母を、いつまでもいつまでも待ち続けることもない。
「つくった人形には思い入れがあるんだよ」
幼少期が原因で、人を待つのも待たせるのも嫌いになったサソリは、己がこうなった理由は『木ノ葉の白い牙』だと考えた。
故に、その息子であるはたけカカシには、それ相応の報復をするつもりだった。
自分で操った父と母に抱かれたところで、返事は返ってこない。温もりなどない。
所詮、偽りの肉親。されど、サソリにとって始まりの傀儡。
よって自らがつくった傀儡を、多少なりともサソリは心にかけていた。
どんな事態が起こるか判り得ぬ戦場やその場に応じて、人形への思い入れが浅いか深いかは、変わるだろう。
だが、今ここにカカシがいるのならば、良い機会だとサソリは眼を細める。
砂隠れの里から我愛羅を連れ戻しに、洞窟にまで追い駆けてきた追っ手。
サソリが注視していたのはチヨではなく、カカシのほうだったのである。
「俺としては…チヨ婆。アンタがあの『木ノ葉の白い牙』の息子と同行していた事に驚きだがな。なんとも思わないのか?」
「……子どもに罪はない」
「どうだか…。なんにせよ、傀儡にするにも質が良さそうだ。うちは一族でもないのにあの【写輪眼】を保持していると、大蛇丸が散々訝しがっていたからな」
人形は数を増やせばいいわけではない。現在発動している【赤秘技・百機の操演】は確かに数の暴力といったものがあるとは認める。
だがコレクションするなら量より質に注目する。
よって、何か特殊な能力を持っている人間を傀儡にするのが良い。
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