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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜白猫と黒蝶の即興曲〜
交わらない点:Point before#2
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マーは集うものだ。

アインクラッド第二十六層。

「あ〜〜〜?カウントダウンパーティぃ〜〜??」

頭上から降ってきた気怠げな声に、猫妖精(ケットシー)アバターとしては極めてレアな狐耳をピクリと反応させ、ヒスイは前方に固定していた視線を巡らせた。

声の主はヒスイ自身が所属するケットシー領が誇る《狼騎士(フェンリル)隊》のリーダーの少年なのだが、生成されるアバターが総じて小柄なケットシーにしては長身長のヒスイをして頭上から声が聞こえるのはどうということはない。彼の騎獣である巨狼《クー》の背に、極めてナチュラルな体勢で乗っかっているからだ。その姿勢はなんというか……騎士というよりはそれの尻に敷かれる鞍というほうが適切かもしれない。

「なんや、ケットシー首都(ウチ)んトコのかぇ?」

「……いやぁ、なんか違うみたい〜〜」

おそらくはフレンドメールであろうウインドウをぽけーっと眺める少年に、「はぁ」と溜め息ともつかない生返事を返しながら、ヒスイは後頭部を掻いた。

「――――あんなぁ、隊長。もーちょいシャンとしてくれへんか?せめてちゃんと見たってくれや」

そんな小言を言う狐耳の麗人、その装備の軽装甲を、顔だけこちらへやっと向けた少年がチョイと動かし――――



ゴァッッッ!!!!と。



大気どころか、空間そのものをブッたぎる爪撃が、眼前数センチを駆け抜けていった。

数瞬前までの体勢ならば、正中線に沿ってクリティカルポイントである頭と胸部を確実に薙がれていた事実に、ひゅっとノドから音が消える。

その事実をすんでのところで覆した少年はこちらを見ながら、ニヤリと悪ガキのような不敵な笑みを浮かべ、次いで声を張り上げる。

「何やってんの!憎悪値(ヘイト)管理しっかり!フォスとカゲさん、前衛の仕事だよ120秒ごとにどっちかがハウル!みりあちゃん、支援魔法(サポート)遅い!束縛(バインド)系利かないのはブリーフィングで聞いたはずだ!落ち着いて、多少長いけど重力魔法を迂回させて《重り》を付けるんだ!あと回復班はあと3秒発動を早く持っていって!このままじゃ削り取られる!!」

怒涛の指示に、はいっ!!!と重なった声が威勢よく返される。

それは十数人のケットシー。漏れなくフェンリル隊に所属する人員である。

そして彼女達が囲むのは、第二十六層に点在する名前付き(ネームド)モンスターの一角。

《エモ・ルーチョン》

確か元ネタは、中国に伝わる妖怪か何かだっただろうか。この地形ゆえか、二十六層は主街区から全体的にアジア圏の雰囲気で統一しているらしい。

全体的に一言で言うと、蟲だ。それもイモムシとムカデが合体したような、デザイナーを思わず引っ叩きたくなるような最悪のコンボで
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