第16話 こんな事も有ろうかと
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人間が手を挙げた。
「私だ・・」
そのボロ布に帝国兵が銃を突きつけるのも忘れて誰何する。
「この状態は何だ?」
「帝国に亡命しようとして仲間割れしたのです」
はっあと思う、臨検士官。
「ほう、帝国に亡命かいったい何でだね?」
「司令官が自ら逃げる為に其方の艦隊へ特攻せよと命令をしてきたので逃げたのです、逃げようとしたのですが艦は自動操縦でどうしようもなかったのです。それに民間人の脱出計画を知っています」
ジョイス准将は涙ながらに嘘八百を並べる。
「脱出だと」
臨検士官は怪しいと思うが取りあえず、参謀長へと話を上げている。
「はっ、敵の脱出計画と・・・・・で、亡命したいと・・・ええ・・・はい・・・・判りました」
向き返って、ジョイス准将に問いかける。
「卿の話だが、どう言う事か?」
「この艦を囮にして、包囲艦隊を牽き回している間に反対方向から逃げるそうです」
臨検士官が旗艦に話を入れていく。
返答が来て、一言。
「嘘を言うな、星から出た艦船なんぞ一隻も関知されなかったぞ!」
「隕石に紛れて逃げたのです」
最早准将の威厳なんかない状態である。
連絡があり、確かに3時間前に隕石群が6時方向へ流れていったことが確認された。
慌てる艦隊司令部が直ぐさまエル・ファシル星へ急行をし始めた。
2時間かけエル・ファシルへ到着し降下し始めたが、いきなり迎撃ミサイルが発射されてきた。
直撃を受けて落ちる戦艦。
その他の戦艦が艦砲でミサイル発射基地を攻撃して瓦礫の山に変える。
降下した兵達が見たのは蛻の殻で放置された建物群であった。
しかも彼方此方にブービーとラップの自動火器が火を噴き多数の兵が死傷するおまけが付いたのである。
そこ頃、増援の農奴輸送艦隊がエル・ファシルに到着したが農奴に逃げられたと聞いて艦隊司令官が怒りだしていた。
「巫山戯るな、卿等は何処を見ていたのだ!」
「申し訳ございません」
「で、情報提供者はどうした?」
「当艦で尋問中です」
「早く、情報を聞け」
「御意」
結果的にジョイス准将達に厳しい取り調べが行われた。
「准将、奴らは何処へ行ったのか!」
「恐らくは、エルゴンかシャンプールです」
「確かだろうな」
「間違い有りません」
そこへ艦隊司令官がやって来た。
「司令官閣下」
「そいつ等か」
「御意」
そう聞くといきなり腹を軍靴で蹴りつけた。
「グファー」
「貴様のせいで俺は叱責されたんだ!」
「ギア−」
「フン、亡命だと、皇帝陛下に対する忠誠を尽くすんだな」
「帝国万歳、皇帝陛下万歳」
ジョイス准将は媚びるように必死になって叫ぶ。
「ふん。後方の病院船にでも送ってイゼルローンで尋問させろ」
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