暁 〜小説投稿サイト〜
一つ目小僧
第六章

[8]前話
 それでだ、未佳はそのあかりの家に行く途中で彼女に言った。
「本当にいたらね、一つ目小僧」
「うん」
 あかりも頷いて応えた。
「そうだったわね、そしてね」
「いや、まさかね」
「ラップやってるなんて」
「しかも住職さんと一緒にね」
「お経をそれで詠うなんて」
「踊りながらね」
 こちらも当然ラップのものだ。
「いや、まさかね」
「そんなことしてるなんてね」
「私も想像してなかったわ」
「私もよ」
「まさにね」
「事実はよね」
「小説よりもね」
 まさにというのだ。
「奇よね」
「本当にね」
「そうだよな」
 未佳の兄も言ってきた。
「俺もな」
「全部見てね」
「それで、ですね」
「そう思ったよ」
 二人と同じことをというのだ。
「本当にな」
「ええ、何ていうかね」
 未佳は兄の話を聞いてまた言った。
「妖怪がいるだけでも凄いのに」
「さらに凄いことがあったな」
「そうよね」
「私この日のこと忘れないわ」
 あかりはしみじみとした口調で言った。
「観たことをね」
「私もよ」 
 それはとだ、未佳も返した。
「本当にね」
「というか忘れられないわよね」
「ええ」 
 実際にと言うのだった。
「このことはね」
「どうもね」
「俺もだ、凄いものを観たよ」
 最後に未佳の兄が言った。
「今日はな」
「ええ、じゃあ今日はもうね」
「家に帰ってな」
「寝ましょう」
「ああ、ただな」
「ただ?」
「チョコレート一枚な」
 これだけだとだ、兄は妹に言った。
「今日の分は」
「それでいいっていうの」
「ああ、それだけだ」
 今夜付き合ったことの謝礼はというのだ。
「それだけでいいからな」
「じゃあ明日買って渡すから」
「それでな」
 二人で話してだ、そしてだった。
 未佳もその兄と共に家に帰った、それで休んだのだった。


一つ目小僧   完


               2018・3・28
[8]前話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ