第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
勇者との出会い
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での勇者像とあまりにかけ離れた現実の勇者に、軽いショックを受けていた。
同時に、故郷であるカザーブからポルトガを経由して、はるばるアリアハンまで来るまでの自分を、走馬灯のように思い返していた。
すると、奥のテーブルの物陰から、かたん、と物音が聞こえた。
ユウリさんもそれに気がついたらしく、再びこちらに向き直る。
「ルイーダ。この鈍くさい女のほかにもまだ人がいるのか?」
鈍くさい……。私は心に10のダメージを受けた。
ルイーダさんも、首をかしげる。
「さあ……。何しろ今まで店が埋まるほど人がいたからねぇ……………………あ」
何か思いついたように、ルイーダさんは声を上げた。
と同時に、がたーん!!と、例のテーブルがひっくり返された。
ひっくり返したのは、顔中真っ赤にしたバニーガール姿の金髪の女の子。
たぶん酔っていなければ、かなりかわいい部類に入ると思う。色白で華奢なその身体は、バニーガールよりは白いドレスのほうが似合う気がする。
「ねー、ルイーダのおばちゃーん!! お酒もうないのー?」
小柄な身体に似合わずかなり大きな声で、その子はルイーダさんにお酒を要求した。
「だれがお○ちゃんよ、だれが!! てーかなんであんたまだここにいるのよ!! とっくにツケ払ってこの国出たのかと思ったわよ!!」
「……なんだあいつは」
ユウリさんが横で静かにつぶやいたのが聞こえた。
バニーガールの女の子は女の子で、マイペースに歌なんか歌っちゃってる。この子よっぽどお酒が好きみたい。私より年下に見えるけど。
「……このウサギ耳も俺の仲間になりたいと思ってここに来たのか?」
「いーえまったく無関係。あの子3日前にここにふらりとやってきては、毎日朝から晩までお酒飲んで店に入りびたり。しまいには店中のお酒飲みまくるもんだから一回強制退去させたんだけど、まさか忍び込んでくるとはね……」
そこまでして飲みたいんだ、お酒。しかもまだ飲み足りてないみたいだし。
「あ、そうだユウリ、あなたあのバニーガール連れて行きなさいよ。たぶんあの子戦力になると思」
「ふざけるな。なんでよりによってあんな悪酔い女をつれて魔王を倒さなきゃならないんだ。結局厄介払いだろそれ」
ルイーダさんの提案をコンマ一秒で一蹴するユウリさん。だがルイーダさんも負けていない。
「何言ってるの! 昔からバニーガールはいずれ立派な戦力となる、ってどこかの誰かが言ってたような気がしないでもなくもないわ」
「結局どっちだ! 冗談じゃない、こんな奴連れてくんだったらまだこいつのほうがましだ!!」
といって、私のほうを指差す勇者。
「なーんだ、それなら安心ね。なんかその子ならあのバニーガールの面倒見てくれそうだし、ちょうどいいじゃない。両方仲間にすれば、両手に花よ
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