第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
勇者との出会い
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ばっかりじゃないか。そんな奴らしかいないのなら、全員俺の仲間になる資格なしだな」
『……………………』
それはまるで水を打ったかのような静けさだった。
「……ユウリ。そんな厳しい条件、誰も飲めないよ」
「ふん、勇者の仲間になるやつならそれくらいの条件が飲めるやつでないと認めん」
隅のカウンターで、あきれたようにため息をつくルイーダさん。
その言葉が口火を切ったのか、途端に店内の空気が爆発した。
「ふ、ふざけるな!! 俺たちを馬鹿にしてるのか!!??」
「勇者だからって、ちょっと生意気じゃない!?」
「ホントにこんな性格悪いのが勇者なのかよ!!」
さっきとはうって変わって、怒号と罵声に包まれる店内。中にはいままで酒を飲んでいたのか、酔ってテーブルをひっくり返したりする人も出てきた。
「ふん、急に手のひら返したように態度変えやがって。だから口先だけの奴は嫌いなんだ。もうここにいるやつら全員まとめて国へ帰った方がいいだろ」
その言葉に完全にぶちきれる冒険者一同。
「誰がテメーの仲間になんかなるか!!」
「だったらてめえ一人で魔王の城に行けや!!」
「俺たちを誰だと思ってんだ!! 泣く子も黙る疾風の……」
「くっ……私を仲間にして置けばよかったと後悔すればいいわ!!」
わけのわからないことを口々に叫びながら、冒険者たちは怒り心頭で酒場のドアをくぐり出て行った。
店に残ったのは、勇者―――ユウリさんと酒場のルイーダさんと・・・・私のみ。
というか、あまりにも突然の言動で、あっけに取られていて動けなかっただけなんだけど。
「ふう……。やっぱりああいうレベルの高い冒険者様には、ユウリの態度は耐えられないみたいね。せっかくの王様のご好意を無碍にして、どうするつもり?」
「ふん、知るか。あいつらが俺のペースに合わせられないようならかえって足手まといなだけだ」
ルイーダさんはあきれたようにため息をついた。すると、私の姿が視界に入ったらしく、少し驚きながらも声をかけてきた。
「あなたは、どうするの?」
「あ、えーと、その」
私が返答に困っていると、にらみを利かせた勇者がこちらに近づいてきた。
どうしよう。ものすごくにらんでる。
私はびくびくしながらも、へんな対抗意識が芽生えて思わず睨み返した。だが、相手はまったく意に介することなく私を物珍しそうに眺め回した。そして、なぜかため息をついてつぶやいた。
「……残念な奴」
残念!? 残念って何!!?? ほかの人と明らかに呼び名が違うんだけど!? それ見た目のこと言ってんの!? あるいは冒険者として残念ってこと!?
私が心の中で軽くテンパっていると、相手はくるりと背を向けて、女主人さんとなにやら話し始めた。
うわ、すっごい感じ悪い。
私は、今ま
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