第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
勇者との出会い
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行方知れずとなっている。
そしてそのオルテガの一人息子が、何を隠そうアリアハンの勇者なのである。
噂では剣術はもちろん、魔法の使い手としても相当の実力者だと聞いている。ルイーダさんの話によると、レベルは30をとうに越えてるとか。父であるオルテガが成し得なかった偉業も、彼なら達成できるのではとさえ言われている。
だがたとえレベル30の勇者でも、単身外に出てしまってはさすがに危険だと配慮し、ここルイーダの酒場で仲間を集めよと、数日前に命じたのだ。
その影響は予想以上にすさまじく、自分も是非勇者とともにパーティーを組みたいと、たくさんの冒険者が酒場に集まってきた。
もともとアリアハンは鎖国状態が続いており、他国との交流はほとんどないといっても過言ではないのだが、今回は特別に冒険者のみの立ち入りを一日だけ許可したのだ。
かく言う私もポルトガに来ていたアリアハン行きの船に、ちゃっかり乗ることができた。もう本当に、奇跡のタイミングとしか言いようがない。
そもそも勇者の仲間になるためにはまず、カウンターにいるルイーダにいまのレベルと職業を登録してもらうのだが、ここにいるほとんどの人がレベル10以上。
そして私のレベルは「1」。……誰が見ても、私をパーティーに入れるなんて足手まといの何物でもない。
もちろん自分でも、勇者のパーティーに入れてもらえるなんて無謀なことだとはわかっている。
でも、足手まといだろうと何だろうと、私は勇者の仲間になりたいのだ。
村にいたとき、遠いアリアハンから勇者のうわさを聞いて、私はすぐにその人に憧れを抱いた。
少しでもその人に近づきたくて、武術を習い始めた。
けど、いくら努力しても才能には勝てなくて、結局最後まで師匠にほめられることはなかった。
家族の反対もあったが、私の熱意に根負けしたのか、最後には皆笑顔で見送ってくれた。
ここまででもかなり無謀なことをしてきたんだから、もしかしたらなんとかなるかもしれない。私はそういう性格なのだ。
そんなことを考えていると、戦士風の男の人が勢いよく酒場に入ってきて、他の仲間に向かって大声で叫んだ。
「おい! とうとうあの勇者が旅立つことになったらしいぞ!!」
その一声に、店内の空気は一瞬にして期待と緊張の入り混じった高揚した雰囲気に包まれた。
これ以上の奇跡はないだろう、いやでももしかしたら本当に仲間になれるかも、と頭の中で何度も考えを巡らせながらコップに入っているミルクを無意識に揺らしていたとき、次第に酒場の外が騒がしくなった。
「勇者だ! 勇者がやってきたぞ!!」
「いよいよ旅立つのね!!」
「絶対魔王を倒してこいよ!! でも無理すんじゃねーぞ?」
「バーカ。ユウリに限ってそんなことあるかよ。なんたってあいつは、この世界を救
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