暁 〜小説投稿サイト〜
俺様勇者と武闘家日記
第1部
アリアハン〜誘いの洞窟
勇者との出会い
[1/7]

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 ここは、アリアハンの城下町にある酒場。
 冒険者たちの間ではけっこう有名で、「ルイーダ」という女の人が一人で切り盛りしていることから、仲間内では「ルイーダの酒場」と呼んでいる。
 いつもこの時間は閑散としている店内なのだけれど、今日は昼間なのにもかかわらず、多くの人でごった返している。
 それもそのはず、実は今日、勇者が旅立ちの許可をもらう日なのだった。
「はぁ……。まだ来ないのかな……」
 ひときわ目立たないカウンターの一番隅のほうで、すっかりぬるくなってしまったホットミルクをちびちびと飲みながら、私は一人ポツリとつぶやいた。
 別に好きでホットミルクを飲んでるわけではない。カウンターに座った途端、酒場の女主人さんからサービスってことでご馳走された。
 やっぱり髪を二つわけにして三つ編みにしてるからだろうか。もともと年齢よりも幼く見えるため、余計子供っぽく見られるらしい。
 自己紹介が遅くなってしまったけれど、私の名前はミオ=ファブエル。なぜ私がこんなところにいるのかと言うと、『勇者』に会って彼の仲間にしてもらうのが目的なのだ。
 もちろん何の力もないただの女の子が『勇者』の仲間になれるわけがない。そのために私は、「武闘家」として今まで毎日修行を続けていた。ただ、服装もそれなりに武闘家っぽい格好をしてきたんだけど、やっぱり普段の稽古着とは違って着慣れない。それが返って幼さを引き立たせているのかもしれない。
 ともあれ今の私の心情は、暢気にミルクを飲んでいられるほど穏やかではなかった。
 半月前、アリアハンとは遠く離れたカザーブから、はるばるここルイーダの酒場に来たのだけれど、ここに来るまでも戸惑いばかりで、さっきからあたりを挙動不審気味に見回しているのが自分でもわかる。
 なにしろ今まで修行のほとんどを自身の能力を高めるための武術に費やしてきて、旅に必要な知識や土地勘、魔物との戦い方などをまったくといっていいほど知らなかったのだ。
 しかし酒場にいるほとんどの冒険者……要するに私以外の冒険者は、あちこちを旅して手ごわい魔物と戦ってきた、歴戦のベテラン冒険者ばかり。私は思わずため息をついた。
 そもそもなぜ私を含め大勢の冒険者がこの酒場に集まっているのかというと、つい先日、ここアリアハンより世界を滅ぼそうとたくらむ魔王を倒すため、一人の勇者が旅に出るという噂が広まったからだ。
 噂はやがて真実となり、それを聞いて共に魔王を打ち滅ぼそうと決起する歴戦の冒険者たちがここに集まるようになったのだ。
 だが魔王は仮にも世界を滅ぼそうと計画しているだけあって、その強さは計り知れない。
 現に十数年前、オルテガと言う一人の屈強な男が、無謀にも単身魔王に挑んでいった。だが死闘の末、彼は魔王の城に程近いネクロゴンドの火山で消息を絶ち、今も
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