"訣別"と"ヒルルクの桜"
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奇行を無視し、上空を見上げていた。
「なあ、アキトって確か空を跳べたはずだよな」
「ああ、そのはずだ」
素朴な疑問をウソップへと投げかけるゾロ。
「……アキトの奴落ちてきてないか?」
「ああ、確かに落ちてきてるな」
「だよな」
「「……」」
何度見返しても現在落下中の人物はアキト本人に他ならなかった。
というか現在進行形で此方へ物凄い速度で落下してきている。
そう、自分達の元へと。
「「ぎゃああああっ!?」」
周囲に響き渡るゾロとウソップの悲鳴。
ビビはオロオロすることしかできない。
ゾロとウソップの2人は無防備にも空から落ちてきたアキトと直撃する羽目になった。
「何しやがる、アキト!?」
「アキトが雪の中に生き埋めにーっ!?」
「アキトさん、大丈夫ですかっ!?」
辺りには雪が散乱し、小規模なクレーターが出来上がる。
前方には件の人物であるアキトが埋まっていた。
頭から思いっ切り雪の中へと。
そう、見事なまでの埋もれ具合だ。
下半身のみを外に剥き出しの状態で生き埋めの状態で埋まっているのである。
雪の中から辛うじて露出しているアキトの左手は力なく、ぐったりとしている。
此方にはまるで助けを求めているかのように手はピクピクと動いていた。
一体何があった。
「って大丈夫かよ、アキト!?」
その場の誰よりもウソップが再起動を果たし、アキトの救出へと取り掛かる。
ウソップはアキトの両足を掴むことでアキトを雪の中から引っ張り出すことに成功する。
当人のアキトが雪の中からその姿を現す。
服は雪だらけであり、顔は最早本人と判別できないほどの量の雪で覆われてていた。
そんなアキトの顔をビビがせっせと払い落とす。
何と気遣いのできる素晴らしい王女様であろうか。
そんな彼女の思いやりの深さにアキトは思わず心を強く打たれてしまう。
胸のときめきとも言うべく、熱い思いがアキトの心を支配した。
恋などでは断じてないが。
純粋な感謝の思いである。
「大丈夫か、アキト?」
「……逆に問おう。無事に見えるか?」
ゾロの言葉を弱々しげな様子でやんわりと否定するアキト。
見ればアキトは力なく両手をだらしなく垂らしている。
疲労困憊な状態ですが、何か?
力を使い果たし、その場から動くこともできない。
攻撃力と防御力の両者は共にゼロな状態だ。
今のアキトを表現するならば翼無き鷲である。
能力を発動する体力もなく、身体は激痛が支配している。
自ら立ち上がる力も存在せず、脚は正にへし折られたと形容してもいいほどに力が入らない。
こうして
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