第一話 悪夢の始まり
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【Warning】や【System Announcement】という二つの真紅の英文が交互にパターン表示され、第二層の底を埋め尽くしていくという異様な光景があった。
一瞬の驚愕に続いて、俺はようやく何かアナウンスがあるのかと肩の力を抜きかけた。
しかし、次は俺の予想を上回る現象が起きた。
空を埋め尽くす真紅のパターンの中央部が血液のしずくのように、ゆっくり垂れてきて落下する前に空中で形を変えた。
出現したのは真紅のローブを纏った20mほどの巨人。
いや、正確にはローブのみ、と言ったほうが良いだろう。
ローブの中はまったくの空洞、薄暗い闇が広がるのみだ。
ローブは左右の袖をまるで腕を広げるかのように広げ、口を開けた――――気がした。
直後、低く落ち着いた声が頭上から降り注いだ。
『プレイヤー諸君、私の世界へようこそ』
落ち着いた男の声が響き渡る。そして巨人はこう続けた
『私の名前は茅場晶彦。今やこの世界をコントロールできる唯一の人間だ』
「なっ……」
この場にいる人ならば、名前を知らない者はいないだろう。
彼こそナーヴギアとSAOを開発し、それを外部の技術だけで作り上げた若き天才。
しかしその多くは謎に包まれた人物。
その彼本人だと巨人は言ったのだ
『プレイヤー諸君は、すでにメインメニューからログアウトボタンが消滅していることに気付いていると思う。 しかしゲームの不具合ではない。繰り返す。これは不具合ではなく“ソードアート・オンライン”本来の仕様である』
「し……、仕様、だと」
クラインが割れた声で囁いた。
『諸君は今後、この城の頂を極めるまで、ゲームから自発的にログアウトすることはできない』
城とはどういう意味だ、この街の何処に城があるというのだ?
俺は戸惑い、すぐには理解できなかった。
『……また、外部の人間の手による、停止あるいは解除もあり得ない。もしもそれが試みられた場合―』
わずかな間。
『ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』
脳を破壊する?
それはつまり殺すということか?
あちこちがざわめく。
『より具体的には、十分間の外部電源切断、二時間のネットワーク回線切断、ナーヴギア本体のロック解除または分解または破壊を試み―――以上のいずれかの条件によって脳破壊シークエンスが実行される。この条件は、すでに外部世界では当局およびマスコミを通して告知されている。ちなみに現時点で、プレイヤーの家族友人等が警告を無視してナーヴギアの強制排除を試みた例が少なからずあり、その結果』
無感情な声は辺りに響き渡り、そこで一呼吸入れ、
『残念ながら、すでに213名のプレイヤ
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