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ソードアート・オンライン 宙と虹
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ギルの店を訪ねることにした。
彼の店は、五十層にあるので街の中心に設置されている転移門からテレポートする。

「「転移、アルゲード!」」

シュワアン……というテレポート音の後、目の前はごちゃごちゃとした色々な物を混ぜこぜにしたような街の風景に変わっていた。
五十層主街区、アルゲード。この街は、一言で言えば《猥雑》だ。街の中いっぱいに無数の細道裏路地が走っており、奥の方まで行くともうどうやって自分が現在位置にやってきたのか、分からないことの方が多い。

キリトなんかは、この街をホームにしており自宅まで持っているそうだが、彼からしてもこの街は複雑らしい。

むしろ迷わせるためにあるような街だ。まあNPCにコルを支払えば転移門広場まで案内してくれるのだが。

「ほんと、いつ来てもややこしい街だなー。よくここに住もうって思ったよなキリト」
「いや、なんか居心地良くてさ……」
「ま、電気街っぽいもんな」

キリトはそういうのじゃないんだけどなあと苦笑しながら、否定しているが、恐らく理由の何割かはそうだろう。ゲーマーなら確かに居心地がいいとも感じる。俺だって少し懐かしさというか望郷の念を感じるのだから。
しかしそれを口にするのはタブーという暗黙の了解がある。何故ならこの世界を仮想だと認識した時、心のどこかでやり直しが効くかもしれない、というゲームに対する感情が生まれてしまうからだ。

それはさておいて、俺たちは路地の奥にあるエギル氏の店へと向かった。

着いた時に、ちょうど彼の店からお客が出てきたところだった。気弱そうな槍使いの青年だった。肩を落としているところを見るに、例の半脅し商売法を喰らったのだろう。どうポジティブに捉えてもMMOでのプレイヤー取引に遠慮は無用、という教訓を得たっていう風にしか捉えられないな、と胸中で槍使いに黙とうを捧げる。

「うっす、相変わらず阿漕な商売やってるな」
「おいおい、ソイツは心外だなキリト。安く仕入れて安く提供するのが、うちのモットーなんだよ」

店主のエギルは、悪びれる様子など一切なくそうとぼける。彼、というか故買屋との商売では特に遠慮をしてはいけない。

その中でもこのエギルという人物の面相は、悪役レスラーもかくやと言わんばかりの蛮族系モンスターのような顔をしているのだ、先ほどの気弱そうなプレイヤーならそれに睨まれただけで簡単にどんな金額でも承諾してしまうだろう。

その上身長は百八十を超えているだろうし、がっちりとした筋肉と脂肪で包まれた体躯は、その顔にハマり過ぎており、ぱっと見は完全に悪人だろう、と初めて見た時は思ったものだ。
しかし、それでいて、笑うと実に愛嬌のある味な顔をするのだ。

「今の槍使いさん、すごい肩を落として帰っていったけど?」

一応せ
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