─ナミの心象U─
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的な誇り高い人間でもなく、私のように自らの容姿を駆使することで相手を篭絡するような軽快で打算的な人間というわけでもない。
どこまでも冷静であり、客観的。
主観性を重んじることはあれど常に平静を装い、事態に対処する。
そして驚く程の達観性と包容力。
敵には容赦無く、奇襲も行える精神性を有している。
だがそこには冷淡さだけでなく優しさもあり、思いやりと気遣いも有している。
アキトは普段余り感情を表に出さない。
私とそう年齢は変わらないはずなのに、あの達観性なのだ。
アキトの正確な実年齢は知らないが私と大差ないことは知っている。
この年齢に見合わない違和感も私がアキトに対する興味を引き立たされる要因となっているのかもしれない。
アキトと接する内にこの確信にも似た考えは強くなっていく。
そう、まるで肉体と精神が合っていないような……。
これは何の根拠も存在しない推測だ。
まあ、アキトがただ単純に精神年齢が高いだけなのかもしてないが。
年齢に見合わないこの釈然としない雰囲気がアキトの魅力を引き立てていることもまた事実。
この推測について幾ら論じたところで答えが出ないのも明白なので今は一旦忘れることにする。
また遇にアキトは普段の表情とはかけ離れたように突然ふわりとした表情を浮かべ、私を混乱させることがある。
私とアキトはまだお互いに短い付き合いであるが私はそのギャップに強く心を打たれた。
その度にアキトは素知らぬふりをし、私の心の内を知らぬ存ぜぬとばかりに通常運転に取り掛かるのだ。
まったく、此方の気も知らないで……
私をアーロンの支配から解き放ってくれたアキトは勿論のことこんな私を快く引き受け入れてくれたルフィ達には感謝している。
だがこれまで一人の男性にここまで心を動かされたことなどなかった。
この感情が恋から来るものなのかはまだ分からない。
私はこれまで恋とは無縁の人生を送ってきたのだから。
いきなり恋なんて無理な話であるし、アキトとは未だ互いのことを理解し始めたばかりなのだ。
今の私がアキトに対して抱いているこの気持ちが恋なのか分かるわけもないのだ。
だがこれからも私はアキトと同じ船で旅をするのだ。
いずれこの気持ちの正体を知る時が来るだろう。
それまではこの気持ちと上手く折り合いをつけ、付き合っていこう。
だがアキトの周囲に私以外の女が蔓延るのは依然として許容できそうにないが……
To be continued...
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