第三章
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実際に三人でその岩のところに近寄っていった、すると一歩進むごとにだった。
音が大きくなってきた、それでだった。
三人共これはという顔になりそのうえでお互いに話をした。
「これはね」
「間違いないね」
「そうよね」
ちなつも紗奈も萌南も話した。
「あの岩からね」
「音がしてるわね」
「こそこそって」
「それじゃあね」
「あの岩の傍に寄って」
「もっと確かめようね」
その音をというのだ、そして遂にだった。
三人で岩を囲んだ、すると音は間違いなく岩の中から聞こえていた。それでちなつは二人に尋ねた。
「岩の中からこんな音するなんて」
「何かしら」
紗奈は岩を怪訝な顔で見ていた。
「一体」
「あの、ひょっとして」
萌南は壊そうに言った。
「この岩の中にとんでもないものがいるんじゃ」
「えっ、妖怪とか?」
ちなつは萌南の話を聞いてすぐに言った。
「そういうのがいるの?」
「そうじゃないの?」
こうちなつに言うのだった。
「だからね」
「こんな音がするの」
「岩の中の妖怪が動いていてね」
「そんなの放っておいたら危ないわよ」
紗奈は萌南の話に怯えた顔になった、強気な方の彼女も妖怪やそうした類にはどうも弱いところがあるのだ。
「どうしようかしら」
「ここはね」
ちなつがすぐに答えを出した。
「神社の人を呼びましょう」
「この住吉さんの」
「ここのなの」
「そう、だってここ神様がおられるでしょ」
このことから言うちなつだった。
「だからね」
「神社で働いている人呼んで」
「それでどうかしてもらうの」
「そうしてもらいましょう」
ちなつがこう言ってだ、紗奈と萌南も頷いてだった。
それで三人はすぐに大社で働いている人、神職の人を呼んで岩のことを話した。すると初老の神職の人は目を瞠って言った。
「ああ、それはええな」
「いいんですか?」
「そうなんですか?」
「妖怪かも知れないのに」
「それはええ妖怪やで」
神職の人は三人ににこりと笑って話した。
「すぐに宮司さんにもお話するわ」
「神社の偉い人にもですか」
「そうされるんですか」
「これから」
「そうするわ、その岩は大社で大事に保管するで」
神職の人は三人にこうも話した。
「そうするで」
「あの、妖怪ですよね」
萌南は神職の人の言葉から聞いた。
「そうですよね」
「そやで」
「それでもですか」
「そやからええ妖怪やねん」
「そうなんですか?」
「その妖怪はこそこそ岩っていうねん」
神職の人は妖怪の名前も出した。
「音を出す岩や」
「そうした妖怪もいるんですか」
「そやねん、それでどうして音が出るか」
岩からだ、そうした有り得ないことが起こる理由はと
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