第二章
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「こそこそってね」
「小さいけれど聞こえるわ」
「何、この音」
「聞こえるけれど」
「誰かいるの?」
「ひょっとして」
「何かしらね」
ちなつは周りを見回した、今境内は人はいないし出店も三人の周りにはいない。犬や猫もいない。だがだった。
やはりこそこそという音が聞こえる、それでちなつは二人にまた言った。
「この音」
「ううん、何かしら」
「気になるわね」
「何処から聞こえるのかしら」
「不思議な音よね」
「そうね、けれど塾があるから」
ちなつは三人の現実の話をした。
「今からね」
「ええ、塾に行かないとね」
「遅刻したら駄目だし」
「それじゃあね」
「音はまた今度ってことでね」
紗奈と萌南も言ってだった、そのうえで。
三人は通っている八条塾住吉校に足を進めた、帰りはそれぞれの親達が車で迎えに来て家に帰った。だがその次の日だった。
三人は住吉大社の境内で聞いたあのこそこそという音についての話をした、それでだった。
ちなつが紗奈と萌南にこう提案した。
「今日私達塾ないからね」
「部活の後でね」
「音がしたところに行ってみるのね」
「そうしない?」
こう提案するのだった。
「気になるし」
「そうね、やっぱり気になるしね」
ちなつに最初に応えたのは紗奈だった、そのやや気の強そうな顔を真剣なものにさせて彼女に応えた。三人共今は制服姿である。ただしクラスはそれぞれ違う。
「それじゃあね」
「住吉さんに行ってね」
萌南はこう言った。
「そうしてね」
「ええ、境内に行ってね」
「それで確かめるのね」
「そうしましょう」
ちなつは萌南にも話した。
「今日ね」
「じゃあ三人でね」
「行きましょう」
ちなつの今の言葉に紗奈と萌南も頷いてだ、そうしてだった。
三人はバスケ部の部活の後で住吉大社の境内に向かった、そしてあのこそこそという音がした方に行くとだった。
やはりこそこそとした音が聞こえる。小さいが確かに。それでちなつは紗奈と萌南に対して強い顔を声で問うた。
「聞こえるわよね」
「ええ、確かにね」
「聞こえるわ」
二人もちなつに答えた。
「こそこそっていう声が」
「今日もね」
「この音は」
ちなつは周りを見回した、当然紗奈と萌南もそうした。だが三人は周りには今の人も生きものも店もなかった、閑散としたものだった。
しかしだ、ふと丸く大きな岩、普段は何も思わずそれこそ石ころの様に思っていた岩を見てだ。ちなつは二人に言った。
「ねえ、ひょっとしてあの岩からね」
「音がするの」
「そうなの」
「だって他にここにあるの木だけじゃない」
三人の視界にはというのだ。
「木からはこそこそなんて音しないでしょ」
「木の葉のざわざわって音
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