第14話 コーヒーよりも紅茶が良い
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引し注意を引きつけるというのである。その後300万人を船に乗せて、レーダー透過装置も付けずに悠々とエル・ファシルから脱出すると言うのである、敵の心理を利用して隕石群と思わせて逃げるというのである。あまりの運頼みに呆れる者が続出したのである。
参謀長が怒った口調でしゃべり出す。
「閣下、無茶です運頼みの作戦など、統合作戦本部の作戦といえども断るべきです」
「参謀長、我々は包囲され既に通信は途絶している、座して待つよりはやってみる価値が有ると思うが」
「だいいち、自動操縦ではパターンが判って敵に気づかれます」
「そうです、動きが単調すぎます」
「見つかるだけです」
多くの幕僚が反対意見を述べる。
リンチ司令官が瞠目していたが、カット目を開いて言い放った。
「よかろう、自動操縦が不味いのであれば、グメイヤだけは有人操縦で行こう、他艦はグメイヤに動きを同調させれば、単調な動きには成らない」
「しかしそれでは、グメイヤの乗組員が捕虜に成るかも知れません」
「犠牲は最小限にしないと行けません」
そう言う、参謀長や幕僚の目がヤンやラップに注がれている。
つまりは言い出しっぺのお前達が囮になれと無言の圧力をかけているのである。
ヤンもラップも腹をくくって囮役を引き受けるしかないと思い出していた、その時であるリンチ司令官が只一言力強く。
「俺が行こう」
騒然となる司令室。
「閣下自ら危険な目に遭うというのですか?」
「あまりに危険です」
しかし、リンチ指令官は自分の考えを話した。
「俺は、エル・ファシルの指揮官だ、その俺がおめおめと部下を囮にして逃げる事はできんよ、
それに俺は航海科出身だから、操縦なら一人でも出来る。犠牲は一人で十分だろう」
リンチ司令官の顔は、すべてを悟った修行僧のようで清々しく感じた。
ヤンやラップなどは、感動していた。
「司令官閣下・・・・・」
リンチ司令官ははにかむように言う。
「たまには、俺も格好いいところを見せたいんだよ、それに死ぬと決まった訳じゃないしな」
ヤンもラップも、十中八九戦死か捕虜であろう事は予測できるにもかかわらず、囮に成ろうとするリンチ司令官は名将だと思うのである。
反対意見を押しとどめて、リンチ司令官はテキパキと指示を出し始めた。
幕僚連中には敵の動向と味方に対しての援軍要請をすることが出来るかの再調査を、陸戦部隊にはブービートラップの設置を、そしてヤンとラップには船の手配と避難民への折衝を任した。
此は参謀長以下がこの作戦を理解しようとしないために一番詳しい2人がやる事に成ったのである。
体の調子の思わしくないラップが船の手配を一気に引き受け、ヤンが市民の代表との折衝に当たる事になった、本来であればラップが適しているのであ
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