第四章
[8]前話
「本当にどうなるかって思ってたから」
「僕も殺されるかもって」
「思ってたわよね」
「それで覚悟決めてたんですけれど」
「いや、こうなるなんて」
「意外でしたね」
「本当にね」
二人で話しながらだ、彼氏を駅まで送った。そしてその後だった。
まりかは家に帰ってからあらためて兄の部屋に入ってだ、兄自身に尋ねた。
「あの、さっきのことだけれど」
「彼氏の子のことか」
「交際していいの?」
兄に怪訝な顔で尋ねた。
「そうしても」
「彼に言った通りだ」
これが兄の返事だった。
「いい子だな、大事にしろよ」
「昔私が男の子と一緒にいたらその子にリキラリアットと蠍固めかけたのに」
「それはあいつが悪い奴だったからだ」
「だからなの」
「あいつは今はヤクザをやっている」
「えっ、そうなの」
「子供の頃から弱いものいじめが好きで強い奴に媚びり嘘を言いあることないこと吹き込み底意地が悪い」
そうした人間だったというのだ。
「そうした奴だと知っていたからな」
「だからなの」
「あいつと付き合うなと言ったんだ」
「あの子にあそこまでして」
「妹に近寄るなと言った」
「そうだったの」
「そうだった、だが彼はいい目をしている」
彼氏の目を見ての言葉だった。
「しかも御前はわしのことを彼に話していたな」
「そうしていました」
「しかしそれでもここまで来た震えていたが覚悟を決めている顔だった」
そこまで見てというのだ。
「わしは彼ならいいと思った」
「そうでしたか」
「本当にな」
「そうですか」
「そうだ、彼なら大丈夫だ」
兄ははっきりと言った。
「だから大事にしろ、いいな」
「ええ、人を見てなのね」
「わしも対応を取っている」
「そうなのね」
「ああ、じゃあいいな」
「ええ、これからも仲良くやっていくわ」
まりかは兄に笑顔で応えた、そうして彼氏と明日この話をしようと心に決めたのだった。
兄への紹介 完
2018・3・24
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