第二章
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「僕は行きます、そして会います」
「お兄ちゃんにもなのね」
「そうします」
「そうしてくれるのね」
「正直怖いです」
見れば顔は真っ白になっている、それにまりかが握っている手も震えている。怖がっているのは明らかだ。
「ですが」
「それでもなのね」
「僕は行きます」
「そうして家族に。お兄ちゃんにも」
「会います、いえ会わせて下さい」
まりかに勇気を振り絞って言った。
「これから」
「覚悟を決めてなのね」
「はい」
まさにというのだ。
「行きますから」
「そうなのね、じゃあ私もね」
まりかは彼氏の決意と覚悟、そして勇気を受け止めた。そうしてだった。
確かな顔になってだ、こう彼に言った。
「一緒に行きましょう」
「宜しくお願いします」
「それじゃあね」
こう話してだ、そのうえで。
まりかは年下の彼氏を自分の家に入れてだった。家族に紹介した。最初は姉妹達だったが二人は笑顔で彼氏に宜しくと言った。
そして両親や祖父母達はというと。
「そうか、まりかもそんな歳になったか」
「よさそうな子じゃない」
「二人で仲良くな」
「喧嘩したら駄目よ」
四人共彼氏を見ても温和で優しい対応だった、彼氏もここまでは安心出来ていた。だが兄の部屋に行く前にだ。
まりかはまるで仕事をする前の刺客の様な顔になってここで彼氏に言った。
「それでね」
「はい、遂にですね」
「この時が来たから」
こう言うのだった。
「そのお兄ちゃんに合う時がね」
「そうですよね」
「本当にここからが本番だから」
「正念場ですね」
「ええ、もう何が出てもね」
その兄からというのだ。
「逃げないでね、お兄ちゃんヤクザ屋さんより怖いけれど」
「怒ったらですよね」
「ええ、実際にお店でヤクザ屋さんが酔っ払って暴れた時があったけれど」
「そのヤクザ屋さんがですか」
「一睨みですいません、でしたから」
「一睨みですか」
「そこで手も出すから」
ただ睨むだけでなく、というのだ。
「本当に怖いから」
「気をつけてですね」
「ええ、それで何かしてきてもね」
「逃げないで、ですね」
「いてね」
「はい、覚悟してますから」
このことをここでも言う彼氏だった。
「もう」
「そうよね、それじゃあ」
「行きます」
「そうしましょう」
二人で死地に行く顔になってそうしてだった。
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