討論会
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『学内の差別撤廃を目指す有志同盟』略して同盟と生徒会との間で、翌日の放課後に公開討論会が行われる、という発表がなされた日の夕食後。
達也と深雪は、達也の師匠である九重八雲の寺を訪れていた。
訪れた理由は、ブランシュとエガリテ、そして剣道部主将の司甲についての情報をもらうためである。
「では師匠、色々とありがとうございました」
「いやいや、肝心なところで役に立つことができなくて悪かったね」
「いえ、参考になりました」
達也が帰ろうと腰を上げかけた時、あぁそうそう、と八雲が声をかけた。
「最近達也くんたちは、不知火の火神子と仲良くしているそうだね」
火神子、という聞き慣れない言葉はあったものの、不知火の単語から深紅のことを言っているのだとはすぐに想像がついた。
「不知火深紅のことですか」
「そうそう、そんな名前だったね」
何を考えているのか全くわからない、飄々とした態度を崩さず言う八雲に、達也が訝しげに問うた。
「彼女がどうかしたんですか」
「今度その深紅さんを、ここに連れてきて欲しいんだよ」
「先生のところに連れてくるのですか?」
予想外の言葉に、深雪が何故を隠しきれずに首をかしげる。
それに対して八雲は、少々わざとらしく頷いた。
「彼女に訊きたいことがあってね」
「わかりました。今度深紅と一緒にここに来ます」
「頼んだよ」
達也も、八雲が深紅に訊きたいことが気になったが、とりあえず頷いておく。
深紅がここにくるのを拒むことは無いだろう、と思ったからだ。
「あの……先ほど先生がおっしゃっていた“火神子”というのは、どういう意味なんですか」
深雪が、もう一つ八雲に尋ねる。
「あれ、知らなかったかい?火神子というのは、不知火家に生まれる、不思議な力を持った子を指す言葉だよ」
「不思議な力を持った子……深紅が、ですか?」
深雪が少し驚いた顔をするが、隣にいる達也はさほど驚いてはいなかった。
火神子という言葉は初めて聞いたものの、深紅の“不思議な力”については知っているためだ。
「引き止めて悪かったね。じゃあ深紅さんのことは頼んだよ」
八雲がこう括り、達也たちは家へと帰った。
??????
「あっ、達也に深雪おはよう」
公開討論会当日の朝、深紅と達也と深雪はいつものように駅で待ち合わせた。
「あぁ、おはよう」
「おはよう深紅」
先に来ていた深紅が二人に手を振り、達也たちも挨拶を返す。
「今日だね、討論会。……何も起こらずに済むと思う?」
「これはまたキナ臭い質問だな」
歩いて行く道すがら、深紅が達也にいきなりこう尋ねた。
それに達也が苦笑を返す。
「何も起こらずに済めばいいが……あまりそう簡単にはいかな
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