番外編〜『最強』の気付き〜
[2/3]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
チクリ。
「…………どこがだよ。」
オレは軽く笑いながら聞き返した。
「えっと、そのとき春雨は、『木曾さんが、強くなるために訓練してて怖い』みたいなこと言ってまして、『目的がずれてそう』とか『楽しくなさそう』って。」
……………………。
「…………あのー、木曾?なんで笑ってるの…………?」
と、オレの顔を覗き込むように見ながらプリンツが言った。そうか、オレは笑ってるのか。
人は怒りが頂点をはるかに過ぎると、笑ってしまうらしい。
そんなことを書いた春雨にも、伝えてきたプリンツにも。
ただ、人が怒るときは、図星を突かれたときだ。
春雨の言ってることは正しい。オレは最近、強くなることしか考えて無かった。
本来の目的を忘れていた。
そこに関しては、こいつらには礼を言わなきゃいけないのかもしれない、と思った。
「そうか…………ま、提督によろしくな。」
オレはそう言いながらプリンツの肩をポンッと叩くと、スタスタと歩き始めた。
――でも、と思う。
どのみち、目的を達成するには強くなるしかない。それは変わらない。
そして、強くなる方法が見付かってないことも、変わってない。
なにも、解決はしていない。
…………どうするか。
オレは少し考えようとしたが、腹が空いてきたことに気付いた。もうすぐ昼なのだろう。
オレは先程のリベンジと言わんばかりに、食堂に足を向けた。
―食堂―
「えっと、さばの味噌煮定食を頼む。」
オレは少し顔色が良くなってきている羽黒さんにそう言った。どうやら、明石さんのカウンセリングが少しずつ効いてきているらしい。
良かったと心の中で思っていると、早くもさばの味噌煮定食がやって来た。
オレは羽黒さんからトレーを受け取ると、どこに座ろうかと辺りを見渡した。
「あ!木曾さん木曾さん!一緒に食べましょうよ!」
すると、聞くだけで若干イラッとくる声が聞こえてきた。
声のした方を向くと、そこにはカメラを脇に置いた青葉が居た。
…………正直、目茶苦茶座りたくないが、座らなかったらあることないこと記事にされてしまいそうだ。まぁ、そうなっなら最悪ぶっ潰すけどな。
オレはため息をつくと、青葉の対面の席に腰を下ろした。
「いやー、長門さんとの一戦は激しい戦いでしたねー!」
オレは机の上に置いてあった七味の入れ物を青葉に投げ付けた。見事に顔面で受け止める青葉。
「…………どうして知ってる。」
オレはせっかく頭の隅の方に追いやってたものを無理矢理思い出してしまったこと
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ