番外編〜『最強』の気付き〜
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オレは廊下を歩いていた。
最早、誰かと話そうかという気すら起こらなかった。
今のオレは、危なすぎると自覚していた。例えるなら、自我を持った核爆弾。威力的にもあながち間違いじゃないと笑った。
…………なんでこんなことになってるのか。
んなもん、あの化け物――戦艦レ級改flagshipのせいだ。アイツがオレをボロボロにしたから、いまこんなことになってんだ。
「必殺の責任転嫁ってか?」
一人で笑った。最早笑うしかなかった。あまりにも情けなさすぎる。
オレが弱かったから、あんなにボロ負けしたのにな。
だから、強くなりたい。まだまだ強くなりたい。もっと強くなりたい。
…………でも。そこで最初の疑問に戻る。
まだ、強くなれるのか?どうやったら、強くなれるんだ?今のままでも、強くなれるのか?
いつまで考えても、答えは出なかった。
「あれ?木曾じゃないですか。」
すると、不意に後ろから声をかけられた。
「…………よぉ、プリケツ。」
「プリンツですっ!わざとですよね!?」
最早、この鎮守府でテンプレになっているやり取りをしながら振り返る。反応が面白いから、ついやってしまう。
「いやぁ、悪い悪い。ところで、こんなところでどうしたんだ?」
「えっと、提督に少し持ってくものがありまして。」
というプリンツの手には、日本語ではない文字で書かれた段ボール箱があった。
『Bier』と書かれていた。
「びえる?」
なんのことやらさっぱりだ。
「ええっと、ドイツからのお土産です。」
プリンツは誤魔化すようにそう言った。
――プリンツ・オイゲン。
基本的に大日本帝国海軍の軍艦が元の艦娘が大半を占める中での、ドイツ艦として生まれた艦娘。
当然、『始祖』だ。
半年前に、春雨と一緒に生まれてきたところをオレ達が保護した。その後、プリンツは研究やら訓練やらのためにドイツに行っていたが、この前帰ってきたところだ。
「そう言えば、春雨が手紙であなたのことをよく言ってましたんですよ。」
春雨が?と、プリンツに聞き返した。そう言えば、春雨って千尋と図書館でドイツ語の勉強してたな…………目的はそれか。
「えぇ。『凄い人が居る!』とか、『思ったより優しい』とか、『魔神は怖い』とか。」
佐々木かな?昔、オレの親父が怖かったって言ってたな。とっくに死んでるけどな。
「でも、なんと言うか…………『辛そう』とも言ってましたね。」
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