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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第35話 孤児院と妖精
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は詳しいことを聞かないといけませんね」


 フィルはこの孤児院を経営している院長のテレサにクラムがイタズラをしようとしていたことを報告した。


「まったくクラムってば本当にしょうがないわね」
「悪いことをしたら駄目なんだよ〜」
「うるさいなー。別にいいじゃねえかよ」


 クラムと同じこの孤児院に住むマリィやポーリィもまたやったのかと呆れていた。どうやらクラムはかなりのわんぱくみたいだ。ダニエルだけはマイペースにアップルパイを食べていた。


「クラム、前から言ってますが人に迷惑をかけたらいけませんよ?」
「先生、だってさ〜」
「だってじゃありません、もう10歳にもなるんですから子供みたいなことは止めなさい」
「ううっ〜。クローゼ姉ちゃん、助けてよー」
「ごめんなさい、クラム君。流石に援護はできません」
「そんな〜」


 その後はクラムがテレサ院長にお叱りを受けて外に逃げ出してクローゼはそれを追っていった。他の子供たちは二階に上がりフィルはテレサと一緒に食器の後片付けをしていた。


「まったくあの子にも困ったものです。もう少し大人しくなってくれるといいんですが……」
「まあクラムも度が過ぎた事はしないしああいう年頃なのかもしれないよ?」
「フィルさんはいつもクラムを気にしてくれていますね。ありがとうございます」
「このくらい気にしないで。ここに住まわせてもらっているだけでも大きな恩を作っちゃってるから」


 フィルは食器を洗いながら頭につけてあるみっしぃの髪飾りに触れる。


「……探し人はまだ見つかりませんか?」
「うん、色々情報をできる範囲で集めてるけど進展はないかな……」
「そうですか。早く見つかるといいですね」


 その後は二人とも無言で皿を洗っていたがふとフィルが呟いた。


「……ねえ、テレサ?」
「どうしましたか?」
「何でわたしの事を何も聞かないの?わたしがこの孤児院の前に倒れていてあなたに保護してもらったけどどうして遊撃士に話したりしないの?こんな得体の知れないわたしを……」


 フィルは前に孤児院の前に倒れていた時にテレサに発見されてそれ以来この孤児院で過ごしているがテレサはフィルの素性などは一切聞かず遊撃士にも報告していなかった。


「……初めは気にはなりました。でもこの孤児院が前に魔獣に襲われたときあなたは何も言わず戦ってくれました。だから私はあなたが悪人だなんて思っていません」
「テレサ……」


 フィルがテレサに保護された日に孤児院に魔獣が入り込んできたことがあった。普段は魔獣が入ってこないように街道灯が光っているが丁度その日に交換する時期が来てしまい交換する前に魔獣が孤児院の敷地内に入ってきてしまったのだ
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