第35話 孤児院と妖精
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少女はさっきぶつかった時に二人が胸につけていた遊撃士の紋章をチラッと見ていたのでこの二人が遊撃士だという事は知っていた。
最初は黒髪の男の子が何やら自身に似たような雰囲気を感じたので警戒をしていたが今は安心しきっているのか栗色の髪の少女に膝枕をしてる男の子自身も眠っていた。
「……」
少女はその光景を見てある男性の事が頭に浮かんだが頭を振って思考を切り替え辺りを見渡し始めた。
別にこの二人に用があった訳ではない、この辺は見晴らしもいいし少女自身もよくお昼寝の場所として使っているのでこのカップルがお昼寝していようと何とも思わなかった。少女が気にしたのはその近くにいた帽子を被った男の子の方だった。
「クラム、何してるの?」
「うわっ!?」
少女は帽子を被った男の子……クラムに声をかける。急に声をかけられたクラムはびっくりして後ずさりをするが少女を見ると不機嫌そうな表情を浮かべた。
「なんだ、フィルかよ。テレサ先生かと思ったじゃんか」
「またイタズラしてるの?クラムもクローゼも困ってるよ」
「うっさいなー。オイラよりも後に来た新入りの癖に生意気なんだよ!」
「新入りでも年はわたしが上」
「屁理屈言うなよな〜」
「それはこっちのセリフ」
フィルと呼ばれた少女はジト目でクラムをにらみつける。流石にバツが悪くなったのかクラムも頭を掻きながら降参のポーズを取る。
「分かった、分かったからその目を止めてくれよ」
「よし、いい子いい子」
「ちょ、子供扱いは止めろよな!」
フィルはイタズラを止めたクラムの頭を撫でるがクラムは顔を赤くしてその手を掴んで自分の頭からはなした。
「ほら、孤児院に戻るよ。クローゼがアップルパイを作ってくれたから呼びに来たの」
「えっ!?クローゼ姉ちゃんのアップルパイ!?なんでそれを早く言わねーんだよ!こうしちゃいられねぇ!!ほら、行くぞ!フィル!!」
「ん、慌てなくても大丈夫だと思うよ……」
アップルパイと聞いたクラムは目の色を変えてフィルの腕を掴んで走り出した。フィルはクスッと微笑むとクラムと一緒に村を後にした。
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「あー、美味しかった!」
「ふふっ、お粗末様でした」
クラムの満足そうな表情に紫髪の少女……クローゼは嬉しそうに微笑んだ。ここはクラムが住むマーシア孤児院で他にも数人の子供が暮らしている。
「フィルさんもクラム君を連れてきてくださりありがとうございました」
「ん、別に気にしなくてもいいよ。それよりもテレサ、クラムがまたイタズラしようとしていたよ」
「あ!おい、フィル!!」
「まあ、それ
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