第三部 古都にけぶる月の姫
また二人で
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」
どうやら、私が無様に負けて気絶した後は輝夜から曹操が守ってくれていたらしい。
申し訳ないやら、自分が情けないやらで思わず顔を伏せてしまうが…そう言えば、まだ大切なことを聞いていない。
「実験はどうだったの?」
「失敗だ。寸前で初代孫悟空に邪魔されてね」
淡々と言っているあたり、実験の結果に未練はないようだ。
と、ここで静かに控えていたブリギッドが口を開く。
「ですがリーダー。ゲオルク様たちは、その…」
「ああ、そうだな。文姫……ゲオルク達は、ここで手を切らせてもらうと言ってきた」
「………え?」
どうして、そんなことに?
「…俺が、君にばかりかまけているのが気に入らなかったようだな。君のせいというわけではないから安心しろ。場合によっては一時的に敵対はするかもしれないが、叶うのならば呼び戻そうと思っている」
そう言った曹操は少しだけ寂しそうに眼を閉じ、私の髪を梳く。
気持ちいいから甘えていたいところだけど、まだ疑問はある。
「残ったメンバーは?」
「構成員の半分と、コンラ、マルシリオ、ブリギッドと言ったところか。ジークとジャンヌとは相互に連絡を取り合っているが、レオナルドはゲオルクが連れて行ってしまったしな」
「そっか……」
「ああそれと、君の護衛兼世話役にブリギッドを任命することにした。構わないな?」
なるほど、ブリギッドが起きた時にいたのはそう言う訳か。
でも別に、私にお世話役なんていらないのになぁ…曹操って時々、過保護だと感じる。
「文姫様、必要なときには声をかけてくださいね!誠心誠意、努めますから!」
「ん、よろしくね」
ブリギッドに対して微笑みかけると、曹操が髪を手放し立ちあがる。
「とりあえずブリギッド。彼女はもう少し寝かせておいてくれ。勝手に抜け出そうとするかもしれないが二時間は安静にするよう見張っていろ。こちらの作業が終わり次第、ここは退きはらって本部に戻ることにするからそのつもりで」
「わ、分かりましたリーダー!」
私が勝手に抜け出すことは織り込み済みだったようだ。本当に、曹操はよく分かってるよね。
とりあえずは大人しくしておくかと、私はベッドにもぐりこむ。
……最後に、赤龍帝の顔でも拝んでみるかな?
◆◇◆◇
お昼頃。
人でがやがやと賑わっている新幹線のホームに、私は変装用のあの制服一式を着てもぐりこんでいた。
赤龍帝の乗る新幹線は……あれかな?
と、ここでポケットの中に入れている携帯電話が専用メロディを奏でる。
ポケットから取り出して通話ボタンを押すと、地を這うような声が聞こえてくる。
『…………文姫。今どこに居る』
「ん、今は京都駅にいる」
『なんだと!
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