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ドリトル先生と奈良の三山
第十二幕その六

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「よかったよ」
「そうだったわね」
「僕達も先生と一緒にいて色々な場所巡ったり」
「いい旅だったよ」
「美味しいものを沢山食べられたし」
「奈良時代のお料理に西瓜にお素麺に大和牛にね」
「美味しいものも一杯あったわ」
 このことも喜ぶ皆でした。
「お酒も美味しかったし」
「そうそう、日本酒がね」
「昔のお酒も美味しかったし」
「濁ったお酒もね」
「そうだったね、よく飲みもしたし」
 このことについてもお話する先生でした。
「僕も満足しているよ」
「じゃあね」
「論文を書いてね」
「そうして皆にお土産を渡しましょう」
「特に日笠さんに」
「まずはよ」
「それはいいね」
「何かすぐにだよね」
 先生は皆の言葉を聞いて言いました。
「皆日笠さんの名前出すね」
「当然だよ」
「出さないでいられないよ」
「先生のことが気が気でないから」
「だからね」
「どうしてかな、考えてもね」
 先生にしてはです、電車はそんなことをお話していながら奈良から大阪に向かっています。大阪から神戸に行くのです。
「僕にはわからないよ」
「そこが先生の困ったところだよ」
「いつも思うけれど」
「先生の場合はね」
「何かと」
「そうなんだ、まあ皆がそう言うなら」
 先生も頷きはします。
「まずは日笠さんに贈らせてもらうね」
「そうしてね」
「先生ご自身の手でね」
「日笠さんへのお土産を全部よ」
「渡してね」
「うん、置きものとかも買ったし」
 それにです。
「お菓子に蘇だってね」
「その蘇何気に大きいんじゃ」
「そうだよね」
「昔あってずっとなかったし」
「奈良の名産だからね」
「凄くいいよ」
「そうだね、珍しいものだからね」
 先生もそう思ってだったのです。
「これはと思ってね」
「買っておいて正解よ」
「トミーと王子には買わなかったけれど」
「サラさんにもね」
「けれどこれでいいんだよ」
「日笠さんにだけ買って」
「公平にすべきじゃないかな」
 ここでこんなことも言った先生でした。
「そうも思ったけれど」
「だから公平とかじゃなくて」
「そうした問題じゃないの」
「こうしたことについては」
「公平とはまた別の問題なんだよ」
「そうなのかな。人は差別したらいけないよ」
 先生は持ち前の平等主義も出しました、先生の素晴らしい美徳のうちの一つであり皆もそれは認めていますが。
 しかしです、それでもなのです。
「こうした時は違うの」
「どうにもね」
「先生はわかっていないけれど」
「そうした問題じゃないのよ」
「どうしてもね」
「それがどうもわからないんだけれどね」
 あくまで平等主義第一で気付いていない先生です。
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