暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第255話 思い出の場所
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キ達が行きたい場所が……。

 軈て正面に見えてきた。白いタイル張りの壁を持つ家がひっそりと建っていた。

『……………』

 言葉は少ないただただ、目の前で感じる様に 例えこの場には本当の意味では来ていな意かもしれないが、それでも 慈しむ様に じっと見据えた。

「ここが2人のお家……なんだね」
「素敵なお家……」

 そっと左手の指をプローブのアルミ部分に添えながら明日奈は囁き、玲奈はそのままの感想を口に添えた。

『うん。……もう一度、みられるとは思ってなかったよ』
『……そう、だね』

 白い壁、そして緑色の屋根の家は周囲の住宅と比べると少し小さめだったが、その分たっぷりと広い庭を備えていた。芝生には白木のベンチ付きのテーブルが置かれ、その奥には赤レンガで囲まれた大きな花壇が設けられている。

 しかし、テーブルは風雨にさらされて色を喰済ませ、花壇もただ黒土に枯れた雑草がちらほら生えているだけだ。両側の家の窓ガラスからは、団欒の暖かなオレンジ色が零れているのに、この家の窓は全ての雨戸が占められて、生活の気配は全くない。

 それも当然だろう。如何にまだ活動範囲があるとは言え、それは病院内での話だ。完全な医療設備の整った環境でなければユウキやランには難しい。小さな病院はこの近くにもあったが、そこで対応しきれるとは思えない。
 
 そして、ユウキとランの両親はもう……。

『ありがとう。アスナ……、レイナ……。ボクを此処まで連れてきてくれて』
「……中に入ってみる?」
『いえ、大丈夫です。……もう一度、この家を見られただけで、本当に満足なんです。楽しかった思い出が、目の前に浮かんできます。今でも……鮮明に』

 もう 日も暮れる時間帯。見えにくくなっていると思えるが、2人の目にはしっかりと当時の光景が蘇っているのだろう。今は風雨にさらされて傷んでいるテーブルや椅子に座り、或いはこの広い庭を思いっきり走り回ったり……。きっとそんな光景が。

『ほんの一年足らず……だったよね? 姉ちゃん。この家で暮らしたのはさ』
『ええ。……でも、昨日の事の様に思い出せる。そう、でしょ?』
『うん。いつも姉ちゃんと走り回って遊んでたよね……。あのベンチでバーベキューしたり、パパと本棚作ったり』

 2人の思い出話を訊いて、明日奈と玲奈は胸に響くものがあった。
 自分達の家は……裕福、富裕層だって言って良い。紛れもない事実。でもそれが良かったなんて本当の意味では思った事なんてない。
 自分達の家にも広大と言って良い程の庭園があった。でも、そこで遊んだ記憶なんて無いんだから。主に勉強をして、将来を見据えて……幼き日からそう教えられて過ごしてきた。玲奈と一緒に遊んだりする事は当然あったが、あまり激しくすると服
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