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ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第255話 思い出の場所
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尋ねる先生に、直ぐにユウキとランは答える。
『よ、読めます!』
『頑張ります』
答えた所で、何やら小声でユウキとランのやり取りが始まった。
仮想空間の同じ場所で授業を受けている様で、2人のやり取りは簡単に出来る。互いの読む場所の確認と交代する場所を決めていた様だ。
色々とやり取りがあった後に、ユウキから先に読む事に決まった。
「ユウキ…… よ、よめる?」
『もちろん。これでもボク、読書家なんだよ?? 姉ちゃんと合わせたら、きっとアスナやレイナにも負けないよ』
ランは兎も角ユウキは……と一瞬思ってしまったが、そこはお口にチャック。ユウキもその自覚はあるようだから『これでも』と言った様だ。
「……ランさん。この位置で、大丈夫かな?」
『はい。大丈夫です。……私も頑張りますね? 玲奈さん』
ランはきっちりと精神を整えた様で、ユウキよりも落ち着けていると思う。玲奈はユウキの事が少しばかり心配になってしまったが、それは直ぐに杞憂となった。
ひとつ間を取ってから、ユウキは元気よくテキストを朗読し始めたから。
『……小田原熱海間に、軽便鉄道敷設の工事が始まったのは 良平の八つ年だった。良平は毎日村外れへ、その工事を―――』
玲奈は、文面を一緒に読む様に 目でユウキの朗読に合わせて追いかけていたのだが、直ぐにそれを止め、目を瞑って全身で受け止める様に、心で感じる様に、……自分の心を開いて聴き入っていた。抑揚豊かに読み上げるユウキ。心地良い浮遊感さえ感じられる。
それは ランの順番が回ってきても同じだった。2人其々の色を出し合い、絡み合い……そして一つの物語を紡いでいった。
眼を閉じ、心で感じるユウキとランの声。
もう直ぐとなりに2人がいる。同じ制服に身を包んだ2人がそばにいる。きっと、それは心の中だけでなく、現実でもきっとこの光景が見られる。2人の声が聴けると強く確信する事が出来た。
その時こそ、今日の事を、今日の授業を思い返し、思い出話に花を咲かせようと誓う。
それだけじゃなく、ファーストフード店に寄り道をして、皆で他愛のないお喋りをするのも良い。きっと、その道筋は出来ている筈なんだ。
――決して楽ではない。苦しい道がまだ続くでしょう。……頑張って、病気に撃ち勝とうと頑張る事。
それは、あの時 病院で訊いた言葉。忘れられない言葉。
確かにそれも間違いないと思う。それ程までに、相手は強大だから。あのSAO時代のフロアBOSSだって凌駕するくらいの強敵だって判るから。でも、2人ならきっと打ち勝つ事が出来る。そう、強く思えたんだ。
打ち勝てたその時に、皆で思いっきり遊ぼう。心ゆくまで楽しもう。……沢山の思い出を作っていこ
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