暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン〜Another story〜
マザーズ・ロザリオ編
第255話 思い出の場所
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奈が丁度扉の傍にいたから勢いよくドアを開けた。

「「失礼しまーす!」」

 玲奈と明日奈の透き通った声が続くのと同時に、『ほら、ユウも』とランの後押しもあって、ユウキも覚悟を決めた様で。

『し、失礼しまぁす』

 と やや声色がおかしい気もするが、それでも何とか頑張って言えていた。ランもクスクスと笑いつつ。

『失礼します』

 と淀みの無い挨拶。この辺りが姉の貫禄が現れているのだろう、と何処か納得ができ、ユウキが頼り切ってる理由も本当によく判る。それでいて、ランは楽をさせない様にしているから、本当に理想の姉だ、と明日奈も見習わなければ、と思ったりしていた。玲奈も 自分の事を『お姉ちゃん』と呼んでくれるユイがいる為、明日奈とランの2人に師事したりしていた。

 それはとりあえず置いといて、今は職員室だ。
 
 2人しかいないのに、4人分の挨拶の声が響いて、少し職員室でもざわつきそうになっていたが、入ってきたのが結城姉妹である事を確認すると納得した様に、軽く会釈をした後にそれぞれの仕事へと戻っていった。
 すたすたと、机の列を横切り、これからの授業を担当してくれる先生の元へと向かう。次の授業は現代国語。受け持つ教師は、都立中学の共闘を定年まで勤めあげてから、この急増教育施設に手を上げて再就職したと言う人物。すでに60代後半でありながら、学校の各所に取り入れられているネットワークデバイスを器用に操り、理知的な物腰もあって非常に好感の持てる教師の1人だ。『まだまだ学ぶ事は多い』と口癖の様に言っていて、50程年下の隼人にもあれこれと質問をしに行ったりしている姿を何度か見ていて、その姿勢にも尊敬の念が送られたりもしている。

「ええと、その子達が昨日聞いた新しい生徒さんかな。悪いが名前を教えてもらえないかね?」

 ニコニコと微笑みを絶やさずに名を訊く。

『あ、はい…… ユウキ―――紺野木綿季です』
『紺野藍子です』

 元気の良い声を聴いたのが嬉しいのか、実際にポローブから返答があった事が、刺激になって嬉しかったのか、口許を綻ばせていた。

「コンノさんたち。よかったらこれからも授業を受けに来たまえ。今日から芥川の『トロッコ』をやるんでね。あれは最後まで行かんとつまらんから」
『は、はいっ! ありがとうございます!』
『嬉しいです。授業を体験できると聴いて……本当に、とても楽しみにしてました。ありがとうございます。先生』
「ふふふ。元気があって良いですね。私の方もいつもより力が入ると言うものだよ」

 ユウキやランの喜ぶ声は姿を見てなくてもはっきりと眼に浮かぶ様だった。ひょっとしたら嬉し涙まで流しているのでは? と思えてしまう程で、それだけでも 誘った甲斐があると言うものだった。


 ユ
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