第三章
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翌朝未亜はやはり寝起きが悪いが昨日より五十パーセントはましな様子で出て来た、それで母は笑って言った。
「枕替えてよかったわね」
「うん」
未亜は顔を洗って出て来た、寝起きがましな分顔を洗うだけで覚醒することが出来たのだ。彼女にとっても幸いなことに。
「お陰でね」
「いい寝起きね」
「昨日よりずっとね」
「まあそれでも悪いけれど」
普通の人の寝起きと比べればそうだった。
「それでもずっとましなのは事実だから」
「いいのね」
「ええ、枕もね」
「大事ってことね」
「そうよ、枕も大事なのよ」
「枕一つで寝起きも随分変わるのね」
「寝ている間も気持ちよかったでしょ」
母は未亜にこの時のことも尋ねた。
「そうでしょ」
「ええ、かなりね」
「そう、枕次第でね」
「寝起きも変わるのね」
「そうよ、じゃあこれからはね」
「あの枕で寝るわね」
「そうしなさい、というかよくあんな枕ずっと使ってたわね」
子供の頃からのそれをとだ、母はここで首を捻って言った。
「あんたも」
「いや、特に何とも思わなかったから」
「枕のことは」
「それでね」
「これまで使ってきたの」
「そうなの」
未亜は母に何でもないといった顔で答えた。
「意識もしてなかったし」
「それが駄目だったのよ」
「だからなのね」
「寝起きも悪かったの、変な夢も結構見たでしょ」
「そういえば」
「夢もね、寝起きに関係するの」
このことも言う母だった。
「寝ている間頭が変な感じだとね」
「夢にもなのね」
「そう、影響してね」
「変な夢を見て」
「それが寝起きにも影響するのよ」
「悪い夢を見るなってことね」
「そうよ、だから枕にも気をつけなさい」
ベッドや布団、そしてパジャマだけでなくというのだ。
「これからは。いいわね」
「ええ、わかったわ」
未亜は再び母に応えた。
「これからそうするわね」
「寝起きが完全によくなることはなくても」
それでもというのだ。
「ましにはなるから」
「ええ、それじゃあね」
「これからはいい枕で寝ることよ」
それを使ってとだ、母は未亜に言った。そして未亜は極端な寝起きの悪さはなくなった。枕を替えたお陰で。
寝起き 完
2018・3・21
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