第一章
[2]次話
寝起き
阿倍野未亜の寝起きはかなり悪い、それでいつも起きた時は家族に言われる。
「早くシャワー浴びて目を覚ましてきなさい」
「・・・・・・うん」
未亜もまるで地獄から抜け出てきた様な顔で応えてそうしてシャワーを浴びる、シャワーを浴びて身体も奇麗にしてだった。
服も着て出て来るころには普通の顔になっていてそこから一日をはじめる。ここから先はしっかりしているが。
とかく朝の寝起きが悪くてだ、ある日母に言われた。
「あんた本当に寝起きどうにかならないの?」
「寝起き悪いわよね、私」
「悪過ぎよ」
こう言われた。
「幾ら何でもね」
「何か朝起きた時はね」
「調子悪いの」
「ベッドからすぐに出られるけれど」
それでもとだ、未亜は母に話した。
「けれどね」
「起き立て本当に不機嫌ね」
「不機嫌っていうか」
自分から言う未亜だった。
「寝惚けててしかも本調子じゃなくて」
「それでなの」
「ああなの」
「あの寝起きなのね」
「そういうことよ」
まさにというのだ。
「私としてはね」
「そうなのね」
「そう、本当にね」
それこそというのだ。
「もうこれはどうしようもないから」
「寝起きのことは」
「体質だから」
「それ子供の頃からだけれど」
母は未亜がまだ小さい頃のことも話した。
「大学に入ってから特によね」
「どうしてかしら」
「何か原因があるでしょ」
母はこのことはクールに返した。
「そうじゃないと悪くならないでしょ」
「じゃあ何が原因かしら」
「自分で思い当たることない?」
「特に」
首を傾げさせてだ、未亜は母に返した。
「ないわ」
「あんた自身ではなの」
「別にね」
これといってとだ、またこう返した未亜だった。
「ないわ」
「そうなの、けれどよく考えてみたらいいわ」
「原因は絶対にあるのね」
「本当に大学に入ってから特にだから」
寝起きが悪くなったというのだ。
「ベッドかお布団か何かに原因があるのでしょ」
「ベッドかお布団ね」
「それかね」
さらに言う母だった。
「パジャマとか」
「パジャマだったら」
それならと言う未亜だった。
「別にね」
「変わらないの」
「だって絹よ」
この生地のパジャマだからというのだ。
「アルバイトで貯めたお金で買った」
「高級なものだから」
「そう、着心地もいいし」
そうしたパジャマだからだというのだ。
「それ着て寝起き悪いのはね」
「ないっていうのね」
「そんな筈ないじゃない」
こう母に反論した。
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