4
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
を仕掛けてみる。
「はっ!」
自然と気合を入れるためにそんな声が口からこぼれる。上段からの正直過ぎる一撃。ガスッと剣が軋み、鮮血の代わりに赤いポリゴンエフェクトが生じ、HPゲージが二割ほど減少する。
「よしっ!」
ファーストアタック成功の喜びに浸っていたら、イノシシ怒りの突進が炸裂。
「ごふっ」
軽く吹き飛ぶが、後転しながら態勢を立て直す。視界左上に表示されたHPバーを確認すると一割と少しくらい削れている。痛みは無いが、鈍い衝撃が腹を貫く。
「いってて……て、あれ?痛くはないのか。なんか変な感じだな」
剣を構えなおし、もう一度振りかぶる。今度は角度を変えて斬り付けようとしたが、次の瞬間に体が加速した。剣にも橙色のエフェクトがかかっている。スライドするように足が動き、斜め上からイノシシの首を切り裂いて、HPゲージを喰らいつくした。
「うわっ!?」
急に体が動いたことへの驚きと、イノシシが死んだことへの驚きが重なって二倍びっくりしてしまった。驚いたら寿命が縮むとはよく言うが、もし縮むのなら今ので間違いなく二倍縮んだ。
「今のがソードスキル……。すごい早い動きだったな。えっと、こうだったっけ?」
先ほどともう一度同じように剣を構える。するとさっきと勝手に体が全く同じ動き、速度で、剣には橙のエフェクトを纏って斬り払った。
「これは……確かに爽快感あるなあ!」
何回もそのソードスキル、《ブラスト》をおさらいするべく空撃ちする。数回ほどやってある程度体がモーションを覚えて、気付いたのは自分の動き次第で攻撃速度を重ねることが出来るということだった。
「なるほどね……」
これは重要な要素だ、と思った。これはプレイヤースキル上げが捗るな、と苦笑していると、不意に冷たい風が吹きつけた。時計を見ると時間はそろそろ五時半前。
そろそろログアウトするか……と思った矢先に。
楽しいだけの世界が、《ただ楽しい》だけの世界ではなくなった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ