一条の光
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る明日へと繋げていく存在のことだ
自らを律し得ず、国民達の事を顧みないお前が王などと認められていいはずがない
お前はただ自らを王だと独りでのたまい、自己顕示欲を隠そうともしない哀れな王に過ぎない
今この国は悪政を敷いていた王の支配から解放されたことでようやく平和への架け橋を築き始めているのだ
その邪魔をさせはしない
この国の未来ある明日にお前達は不要だ
そして、お前達がこれまで殺めてきた人々の苦しみを、憎しみを、恨みを、嘆きを
─ 痛みを知れ ─
人を呪わば穴二つ、正に因果応報
アキトは慈悲を与えることなく左手を一気に握り締めた。
「「ならば副王様の座を……!?」」
途端、ワポルとムッシュールの表情が激変する。
ワポルとムッシュールは身動きが取れない空中でもがき苦しみ、悶え始めた。
喉を掻きむしり、何かに必死に縋るように大きく振るわせながら手を空へと掲げる。
ムッシュールとワポルの両者の顔は絶望の色に染まり切り、身体は呼吸をするのも困難な状況に陥いる。
見れば想像を絶する痛みの影響か目は大きく肥大化していた。
瞳からは大量に涙を流し、眼球は今にも飛び出してしまいそうだ。
最後に、ムッシュールワポルキャノンの体は腹部が大きく凹み、肉が潰れ、その肥えた体が一気に縮まっていく。
抗う術も無く体内から圧縮され、捩じられ、砕かれ、破壊される。
骨は砕け散り、無残にも内臓へと突き刺さっていく。
ワポルとムッシュールの2人は最早悲鳴を上げることも出来なかった。
暫くの間、ドラム王国から遠く離れた遥か上空にて欲望の限りを尽くした男達の悲鳴が鳴り響いた。
「……」
数秒後、アキトの眼前には先程までワポルとムッシュールであったモノが浮かんでいた。
アキトは感無量といった様子で左手を振り下ろし、そのオブジェを眼下の大海へと墜落させる。
見るに堪えぬその肉塊は落下による摩擦熱により瞬く間に引火し、その身を赤く燃え上がらせる。
アキトの能力と重力の後押しを強く受け、途轍もない速度で眼下へと一直線に落ちていった。
まるで隕石が如し速度と熱量だ。
これがドラム国を長年苦しみ続けてきた悪政の王とその兄の人生の終焉であるのと同時に成れの果ての姿であった。
この日、ドラム王国の国民達は見た。
空に浮かぶ雲を突き抜け、大海へと堕ちる一条の光を
やがてその一条の光は『開国にして解放の光』として国民達は後世へとその存在を語り継いでいくことになる。
─ 今此処にドラム王国の支配は終わりを迎え、国民達は平和への架け橋を登り始めた ─
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