一条の光
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縮が繰り返されること幾度
幾度の緻密な操作を経ることでその黒き謎の物体は遂にその正体を現そうとしていた。
見ればアキトの周囲は何らかの前触れか雪が浮かび上がっている。
その黒き力の本流はアキトの掌へと集まり、球状へとその形を変化させていく。
やがて生み出されるは黒き小さな球体
その大きさは想像以上に小さく、容易に握りつぶすことが出来るのではないかと思えるほどの大きさだ。
しかし、その内に秘めたる力の大きさは計り知れず、その黒き球体は周囲に積もっている大量の雪を際限なく引き寄せていく。
ワポルとムッシュールは自分達の理解の範疇を越えた目の前の現象に唖然とすることしか出来なかった。
「自身の体を媒介に磁界を生み出し、引力と斥力を生み出す能力。その名をジカジカの実。それが俺が食べた悪魔の実の力だ」
驚きの余り言葉を失っている2人に構うことなくアキトは説明を続ける。
「これは俺の能力を応用して作り出した強力な引力を持つ球体であり……」
「そして先程、ドラムロッキーの山頂からこの場に移動する間にこれを口を通す形でお前の体内へと侵入させておいた。毒の胞子を対外へ放出することができないのはそれが理由だ」
「「何……ッ?」」
アキトはそう説明する最中、自身の掌の上で生成していた雪の塊を破壊する。
引力の力の影響を受けることで幾度も圧縮されて出来上がっていた巨大な雪の塊は甲高い粉砕音を立て砕け散った。
その異様な光景がアキトの能力の強大さを如実に表していた。
Dr.くれはから胞子爆弾の脅威とその特性、彼女が知りうる全ての情報を聞き及んでいた。
アキトは最初から、最善にして最高の策を準備しておいたのだ。
もしも、ムッシュールの胞子爆弾が発動するような事態に陥った場合、この方法で奴を処理することは決めていた。
対外へと放出させてはいけない代物ならば、そもそも発射させる時間すら与えなければいい話だ。
その代償に自分は大量のスタミナを失ってしまうことになるが、ナミとこのドラム王国を救うことができるのならば安い代償である。
しかし、刻一刻と自分にタイムリミットが近付いているのも事実であり、表面上では平静を装ってはいるが今にも体力が尽きてしまいそうだ。
故に、早急に奴を始末する。
「これから自分の体がどうなってしまうのか理解出来たか?」
「「ま、まさか……!?」」
アキトは驚愕するワポルとムッシュールに掌を向け、奴らの体内に存在する自身の力に大きく干渉した。
ワポルは己の意志とは関係なく空へと飛ばされていく。
アキトも同じく島の沿岸から飛翔し、遥か上空へと飛び立っていった。
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