第34話 空賊との戦い
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紅葉切り』!!」
更に追撃として俺は居合切りを放ちドルンに切りつけた。流石にタフなドルンも効いたのか膝をついた。
「とどめよ!『金剛撃』!!」
エステルさんの放った一撃がドルンを大きく吹き飛ばして壁に叩きつけた。
「ド、ドルン兄!?」
「大丈夫、気を失っただけだ。今回復するから君もこっちに来て」
「あ、うん……」
ジョゼットが悲鳴を上げるが気を失わせただけなので問題はないだろうとヨシュアさんが説明した。エステルさんがドルンとキールに、ヨシュアさんが念のためにジョゼットにもティアラを使って傷を癒した。
「う、うーん……あいたたた……どうなってやがる?体中が痛ぇぞ……」
ドルンが目を覚ましたがどうも様子がおかしい。さっきの荒々しさが嘘のように鳴りを潜めていた。
「ド、ドルン兄?」
「兄貴、一体どうしたんだ?」
「おお?……ジョゼットじゃないか!ロレントから帰ってきていたのか!こんなに早く帰ってきたって事は失敗したな?」
「ふえ……?」
「がっはっは。ごまかさなくてもいい。まあこれに懲りたら荒事は俺たちに任せておけ。チマチマした稼ぎだが気長にやればいいんだからな」
「ドルン兄、何を言ってるの?」
「おいおい兄貴、ジョゼットはとっくの昔に帰ってきていただろう?定期船を奪った後に俺が迎えに行ったじゃないか?」
「何を言っているんだ?定期船を奪うだなんて危ない橋を渡るわけねえだろうが?」
「……」
「……」
ドルンの言葉に二人は訳が分からなくなったのか口をあんぐりと開けていた。しかしどうしたっていうんだ?ドルンの話を聞くと彼は今回自分たちが起こした定期船を強奪した事件のことを知らないように振舞ってるぞ?
「ねえ、こいつ何を言ってるの?もしかしてあたし強く叩き過ぎたかしら?」
「どうも言い逃れしようとしてる訳じゃなさそうだね。本当に今の状況が分かっていない感じだ」
「演技って感じもしないね。まるで夢から覚めたような様子だ。僕も夢から目が覚めると時々自分の美しさが現実かどうかわからなくなってしまう事が……」
「はいはい、分かりましたから静かにしてください」
「……リート君の意地悪……」
「どっちにしろ事件は起きてるんだから詳しいことは捕らえてから聞きましょう」
エステルさんたちもドルンの様子に疑問を持ったみたいだがどのみち事件は起きてしまっているので彼らを拘束することにした。その後はこの場所を突き止めたリシャール大佐率いる王国軍に彼らを引き渡して今回の事件は幕を閉じた。
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