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勇者にならない冒険者の物語 - ドラゴンクエスト10より -
始まりのジュレット8

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 バルジェンは真顔で身の丈を超える両刃斧を担ぐミシャンラに向かって両手を広げて見せる。

「いやいや、何も言ってないですよ」

「顔に書いてあったのよね」

「パーティリーダーがミシャンラって事でしょ? そう思っただけで・・・」

「ふーん、まあ許してあげましょう」

 バルジェンの半分程の身長のドワーフ娘は両刃斧から手を離すと、一同を見回した。
 ウェスタンブラウスに身を包み、大刀をリュックの上に括り付けて背負うチョウキ。
 神官の法衣に身を包み、穂先が十字の槍を右手に携えたジアーデ。
 みかわしの服に身を包み、ギョロっとした目のような装飾の施された宝球が先端に付いた杖を抱えるように持つミエル。
 ワイルドジャケットに身を包み、両刃斧を右肩に担ぐ自身を確認して、ミシャンラは満足げに頷いた。

「準備完了ね。それじゃ、上層に出るわよ。キャンピングドルボードは門の外に停車させてあるから外に出たらリュックを荷台に移して出発ね。操縦はジアーデ、お願いできるかしら?」

「お安い御用にゃ!」

 ビッと敬礼して見せるジアーデ。
 チョウキは2歩進み出るとバルジェンに向かって言った。

「では、行ってくる」

「おう、気をつけてね」

「うむ!」

 上機嫌に頷いて見せるチョウキをよそに、ミシャンラはバルジェンの真正面に移動してまじまじと彼を観察する。

「まさかその布の服しか装備が無いとは思わないけど、あなたも装備を整えて冒険者の酒場に顔を出して来なさいね。簡単な依頼でもいいからこなして行かないと。この子達に養ってもらおうなんて甘えないように」

「イエス・マム!」

 ビッと敬礼して見せるバルジェン。
 ミシャンラは満足げに頷くと一同を再び見回した。

「それじゃ、出発!」

「じゃーにゃー、行ってくるにゃー」

「行ってきます」

「他の女にうつつを抜かすでないぞ。では行ってくる!」

「ん、気をつけて行ってらっしゃい〜」

 ジュレー島上層に向けて出発する4人娘を見送りしばらく手を振っていたバルジェンは、彼女達が登り階段を登りきって見えなくなると宿に向かって踵を返して一つ伸びをして独りごちた。

「依頼見に行かんとな。金が無いと話にならんし。仕事しないとだよなー」
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