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魔法科高校の劣等生 〜極炎の紅姫〜
不穏な影
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脳裏にはつい先日見た、赤と青の線で縁取られた白いリストバンドをつけた男子生徒の姿が再現されていた。

「例えば、ブランシュ、のような奴ら……」

思わずそう呟いてしまうと、動揺が驚愕に変わった。
硬直する真由美と摩利。

「深紅も見ていたのか?」

「うん。達也もだったのね。あのリストバンドを、わたしも見たわ」

「何故、その名前を……」

「噂の出所を全て塞ぐなんて、それこそ無理な話ですから」

深紅が……そして達也が見たリストバンドは、反魔法国際政治団体『ブランシュ』の下部組織、『エガリテ』のシンボルマークだ。

「こういうことは、中途半端に隠しても悪い結果にしか繋がらないものですよ。
いえ、会長のことを責めているのではなく、政府のやり方が下手だと言っているだけなのですが……」

達也がそう言っても、真由美の表情は晴れなかった。

「ううん。達也くんの言う通りよ。彼からがいかに理不尽な存在であるか、そこまで含めて情報を行き渡らせることに努めれば、隠すよりも効果的な対策を取れるのに、私たちは正面から対決することを避けて……いえ、逃げてしまっている」

「それこそ仕方ないでしょう。国立の学校運営に関わる生徒会役員が、国の方針に縛られるのは仕方ありません」

達也の言葉に戸惑ったような表情を浮かべる真由美に、

「そうですよ。会長の立場では、秘密にしておくのも仕方ありません」

深紅もそう声をかける。

「えっと、フォローされたのかしら……」

真由美が戸惑いながら言った言葉に、

「でも、追い詰めたのも司波くんと不知火さんですよね……」

ボソッと呟くあずさの一言。
そして、摩利からも追撃があった。

「自分で追い込んで自分でフォローする、ジゴロの手口だね。真由美もすっかり籠絡されているようだし」

「達也はともかく、わたしがジゴロというのは無理がありませんか」

「おい深紅、俺はともかくとはどう言うことだ?」

「達也は男でしょ?」

「なんか違う気がするが……」

「ちょ、ちょっと摩利!私は籠絡されてなんかいないわよ!」

「そうか?顔が赤いぞ真由美」

「摩利!」
??????
「…………さてと、そろそろ時間ですから、俺たちは失礼しますよ」

ようやくじゃれ合いをやめた真由美と摩利に声をかけ、達也は席を立った。
それに続いて、深紅と深雪も立ち上がる。

「あぁ、ちょっと待ってくれ。達也くん、返事は結局どうするつもりなんだい?」

「 別に……返事を待っているのは俺の方ですから」

−−自分の意見を学校側に伝えて、それからどうするんですか?−−

達也が沙耶香に向けて放った最後の問いに、沙耶香は答えることができなかった
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