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魔法科高校の劣等生 〜極炎の紅姫〜
不穏な影
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たというのは本当かい?」

摩利はどうやら、今の会話をなかったことにしたらしい。
達也は一つため息をつき、

「そんな事実はありませんよ」

とだけ言った。

「そうなのか?壬生が顔を真っ赤にして恥じらっていたという目撃情報があるのだが」

摩利がそう言った瞬間、生徒会室に奇妙な現象が起こった。

達也の左隣からは、強い冷気が漂い、
達也の右隣からは、強い熱気が漂う。

深雪は俯いて、長い髪で表情を隠しているが、深紅は達也の顔をアルカイックスマイルを浮かべ見つめている。

「お兄様、一体何をしていらしたのですか?」

「達也、一体何をしていたの?」

氷の女王と炎の女王の声が、重なる。

「ま、魔法……」

そう呟いたあずさの声には、怯えが混じっていた。

「よっぽど事象干渉力が強いのね……」

そういう真由美の声には、感心したような響きがあった。

「深雪も深紅も落ち着け。きちんと説明するから、魔法を抑えろ」

そう言われて、深雪はゆっくりと息を吐き、深紅はずっと目を閉じた。
室内を漂っていた冷気と熱気が収まる。

「申し訳ありませんでした……」

「すいません……」

魔法を暴走させてしまったことに羞恥を感じ、深雪と深紅は頬を赤らめる。

「夏場は冷房いらず、冬場は暖房いらずね」

場を和ませる、というよりは、自分を落ち着かせるための真由美のジョーク。
そして達也はその場の全員に、壬生 沙耶香との会話を正確に再現し、聞かせた。

「どうも風紀委員の活動は、生徒の反感を買っている面があるようですね」

最後にそう締めくくる。
真由美と摩利の顔は、同じように曇っていた。

「点数稼ぎのために強引な摘発、なんてあるんですか?
わたしはこの一週間、そんなことは少しも見聞きしなかったのですが……」

首を傾げながらそうこぼす深紅に、摩利は首を横に振ってみせた。

「それは壬生の勘違いだ。思い込み、かもしれないがな。
風紀委員は全くの名誉職で、成績には関係がない」

「でも、風紀委員が校内で高い権力を持っているのもまた、事実。学校の現体制に不満を持っている生徒には、そう見られても仕方ないかもしれないわね。
実際には、そう印象を操作している輩がいるのだけど……」

真由美の回答に、達也と深紅は小さく驚きを感じる。
思いのほか、根の深い話らしい。

「正体は分かっているんですか?」

彼としては、当然の質問だった。

「えっ?ううん。噂の出所なんて、そう簡単に特定できるものでもないから」

しかし真由美と摩利にとっては、予想外の質問だったらしい。
二人の顔には、ハッキリとした動揺が浮かんでいた。
そしてその時、深紅の
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