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嗤うせぇるすガキども
これが漢の戦車道 最終話
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粛々と後ろ手に、杭に縛り付けられる。
 その段にいたってようやくこれが銃殺を模した何かだと気がつく鹿次。
 あああ〜。俺って何て愚かだったんだ。
 おとなしく砲撃を食らっていれば、せいぜい高圧電流か催涙ガスか炭塵爆発レベルで済んだのに……。と、何度も後悔する鹿次。
 しかし、覆水盆に返らず。自業自得である。

「せめて目隠しをおねがいしますだー」

 この期におよんで、まだ見苦しい鹿次。



 いよいよ、衆人環視の中で彼らの「銃殺刑」が執行される。
 一般親衛隊の制服を着た人間が6人、彼らの前に並ぶ。
 その中の偉い奴みたいなのは、実際の将校のように「死亡確認」をする役なんだろう。

「これより、戦争犯罪人5名を婦女子暴行のかどで銃殺に処す。
 銃殺隊、前進」

 将校役の合図で、黒衣の軍装に身を包む5人の男が、手に短銃らしきものを持ったまま、一歩前に進む。

「ぎゃあああ! 殺さないで殺さないで殺さないで〜〜〜」

 鹿次の悲鳴に、冷えた笑い声で報いる観衆。
 いまや彼らの憎悪は堂々とした態度の戦争親父から、見苦しく泣き叫んでばかりの鹿次に矛先を転じていた。
 なんであんな男の風上にも置けない奴が戦車に乗ってるんだ?
 皆がそう思っている。戦車道を舐めていると。

「構え!」

 銃殺隊が5人の心臓にむけて、短銃を構えた。

「執行!」

 短銃の先から、細いワイヤーを引っ張った太い針が飛び出す。
 短銃のグリップには、らせん状の電源コードがついていて、銃殺隊のベルトにつけられた高圧バッテリーにつながっている。
 単発型ワイヤー針スタンガン、テイザーM26。
 犯罪者制圧用に飛び道具として開発された、自動拳銃みたいに見える代物である。
 もちろん性能は、護身用スタンガンと何ら変わるところがない。

 電極付きの針が、あわれなホラー号乗組員の胴体に次々突き刺さる。
 高圧電流をくらい、さしもの猛者、戦争親父も絶叫する。
 ひとしきり野郎どもの苦悶に満ちた叫び声が、闘技場いっぱいに響き渡る。
 他のクルーが次々と頭を垂れて気絶していく中、戦争親父は目を血走らせて雄叫びを上げる。

「見ておくがいい! 戦いに、敗れるとは、ごういう、ごどだああぁぁ―――――っ!!」

 叫び終わると同時に、ついに壮絶に力尽きる戦争親父。
 いっぽう鹿次はといえば、なさけないことに針が刺さる前に失神&失禁していた……。



「刑場」に、意識を失った5人の身体が並べられる。
 将校役が、一人一人を検分して、意識がないのを確認する。
 彼はうなずくと、「執行完了!」と宣言する。
 観客席を埋めつくす観衆は、一斉に拍手。
 これですべてが終わったかに思われた。


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