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嗤うせぇるすガキども
これが漢の戦車道 B
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てやりますか」

 連中はあの程度の砲撃なら、至近でもかわす自信がある。
 なにしろ1両に1人は、プロを引退した老兵が混じっているのだから。

「今日の相手には、プロ上がりがいねえ。
 つまんねーな」

 彼らの中でも長老格がつぶやく。
 この世界はオートレースと同じで、50歳以上の現役選手がザラにいる。
 女で彼らを倒せるものは、現役で脂ののりきった全盛期の女子プロ選手しかいない。
 それは観客を含めて、皆の共通認識だった。

 4両の野郎戦車は、時速20キロで「間合い」を詰め始める。
 ようやく数発の敵弾が彼らに命中するが、2ポンドや37mmなら1,000mでも安全距離だ。

『おい、こっちが片付いたから手伝ってやろうか?』

 ホラー号からの通信だ。
 戦争親父が「手伝った方がいいか?」と聞いてきたのだ。

「今日は十分食っただろ? 俺たちの戦果をとるなよ」
『わかってら。なに、横合いの林から榴弾で援護射撃してやろうと言うんだ』
「それはありがたいねえ。1,000mに近づくまで頼むわ」



 ガールズの方は、とうとうスターリンが倒されて分遣隊5両が全滅したのを知って、顔面蒼白になっている。

「何ですって? 1両相手に全滅……」
「格が違いすぎるわ、ホラー号なんて」
「だからスターリンとクルセイダー4両を割り振ったのに……」
「もう白旗上げようよ……」

 戦車道では自軍が極端に劣勢になった場合、投了の手段として手旗の白旗が使える。
 それは鹿次がいた方の地球上における戦車道でも同じだ。

「だめよ、白旗使ったらファイトマネーが減額されるわ。
 それに観客を楽しませるのもプロの仕事でしょ」

 お金の話になると、目の色が変わる。
 どこでも女という生き物は、現金な連中のようだ。
 そこに、ホラー号の放った榴弾が降り注ぐ。

「きゃああぁあ!」
「ホラー号よ! ホラーよ!」
「逃げよー! 逃げよー!」
「でもどこに逃げるのよー」

 ホラー号は女性軍から500m離れたブッシュのなかにいた。
 キューポラから半身を出したバケモノ車長の戦争親父が半ばあきれていた。

「なんつー醜態だよ。お、1両だけ腹の据わったのがいるねえ」

 それは、さっきファイトマネーのことを思い出した車長が駆るマチルダUだった。
 せめて勇名轟くホラー号を倒して、ファイトマネーの増額を迫るつもりのようだ。

「でも、10発撃ったら、1発は当てて見せろよ。
 照準器の使い方、忘れたのか?」

 そう、まるで距離修正がなっていない。敵弾は頭上か足元にしか飛んでこない。
 一方で掩護は有効だったようだ。予定より早く味方からの通信が入電する。

『おい、戦争親父。

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