今日も空は青かった(後編)
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けにはいきまへんな」
彼は札束を見て、数を数えてからそう言った。
「利息の部割り計算はしておりまへんのや。あんさんは一年で一割という約束や。
やから、まだ期限が来ておらへんのに利息まで受け取れまへんな」
闇金なのになぜか律儀な彼は、かたくなに利息を拒否した。
これも悪魔補正かも知れない。
後味が悪いので「交通費」と言いくるめて百万円受け取ってもらった。
『で、結局戦車相乗りはしなかったわけね』
そろそろ契約から半年が見えてきたころ、僕のフォローに現れた二匹の悪魔は、それを知ってあきれていた。
『だからといって契約はチャラ、ってことにはならないぞ』
それはそうだろう。彼らは責任を持って信義に背き不誠実に働いてくれたのだから。
「うん。それはわかってる。
それに僕の本当の目的は女の子と楽しく過ごすことであって、戦車は三の次だったんだ。
それがよくわかったし、期限付きとは言え楽しい人生になりそうだ。
ありがとう。地獄ではよろしくね」
これまで生け贄の人間から「ありがとう」なんて言われたこともなかったのか、この二人は呆然としていた。
でも、僕にとっては地獄に行くのが数十年早くなっただけの話だ。
そしてその数十年が、生き地獄でないという保証もどこにもない。
そして、契約から半年がたった。
僕は、学園のベスト3の美少女たちから交際を迫られていた。
以前だったら大喜びだったろう、3人とも美味しくいただいていたにちがいない。
でもなんか、それっておかしくないかと思う。
向こうは真剣なんだ。
それをそんないい加減な扱いをしたら、オモチャにしたのと変わらない。
そして僕は、その3人の誰ともつきあいたいと思っていなかった。
だって、前の彼氏をみんな振っているんだから。
「上っ面だけキレイ」だから何だというのだろう。
中身は結局僕と同じだ。スペックだけの人間だ。
実はこの時期、僕には好きな子がいた。
でもその子は、僕を見ると逃げるように去ってしまう。
しかたがないので、3人をいっぺんに校舎の屋上に呼んだ。
3人は「こいつも粉かけていやがったのか」とにらみ合う。
そして、僕のことも「なんて無神経な奴」と思ったかもしれない。
でも、表面上はにこやかにしている3人に、僕は誰も選ばないこと。
つきあう気もないこと、好きな子が別にいることを全部伝え、あぜんとする3人を屋上にのこして、階段をかけ下りた。
僕は君たちのコレクターズアイテムじゃない。さようなら。
変なところで人を見る目がついてしまったものだ。
ハーレムって男の夢なんだって?
夢は夢でも、悪夢だよね。
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