第33話 ヴァレリア湖での休息
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ルさんなら直に追いつけますよ」
「ありがとう、リート君」
エステルさんはカサギンを吊り上げながら俺にお礼を言った。
「リート君って父さんの知り合いらしいけどどういう経緯で知り合ったの?」
「遊撃士の仕事関係で俺の父と知り合ってそこから俺も知り合いになったって感じですかね。俺は一回カシウスさんから手ほどきも受けています」
「へぇ〜、リート君の父さんか。どんな人なの?」
「そうですね、酒癖が酷いですしだらしない所もありますがとても強くて優しくてこの世界で一番頼りになる男性ですね」
「そうなんだ、じゃあリート君の他人を放っておけない優しさはリート君の父さんから貰ったものなのね」
「あはは、そうだったら良かったんですけどね」
「うん?」
「俺は父さんとは血がつながっていません、捨て子だったので……」
「あ……」
俺がそう言うとエステルさんは少し暗い表情を見せた。
「ご、ごめん!あたしったら無神経な事を……」
「気にしないでください、たとえ血がつながってなくても父さんは俺の誇りですから」
「……ならあたしの家族の事を聞いてくれないかしら?それでお相子っていうのも変だけど」
俺は気にしないがエステルさんは悪いことをしてしまったという表情を浮かべていた、これでは彼女の気が晴れないと思い俺は頷いた。エステルさんは俺の了承を受け取って話し出した。
「あたしね、小さいころにお母さんを亡くしてるの。10年前の戦争で……」
「10年前……百日戦役の事ですね」
「うん、あたし父さんが戦っている相手が見たくてロレントの時計塔に上ったんだけどそこを降伏を進めた帝国軍が威嚇射撃で爆撃したの。あたしが助かったのは母さんが身を挺して守ってくれたからなの。そんな経験があったからあたしは遊撃士を目指したいって思ったの」
「……そんな過去があったんですね。俺のほうこそすいません、言いたくもないことを言わせてしまって……」
「いいの、もう吹っ切れてるから……それに今は父さんもヨシュアもいるからあたしは大丈夫、寂しくないわ」
「エステルさん……」
「それにいつまでも引きずっていたら母さんが安心できないしね」
「エステルさんは心が強いんですね、尊敬します」
「あはは、やだなー。そんなおだてても何もでないわよ!」
エステルさんは俺の背中をバンバンと叩いてきた、おそらく照れ隠しなんだろうがちょっと痛い。
「よーし、なんか気合も入ってきたしじゃんじゃん釣るわよー!」
エステルさんはそう言うと本当にどんどん魚を釣り上げていく、どうやら釣りの才能はエステルさんの方が上みたいだ。だって俺はカサギンとサモーナの二匹と破れた長靴しか釣れなかったからね。
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