第十幕その六
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「私の夢の一つだったの」
「そうだったんだね」
「そしてその夢が適ったわ」
「それは何よりだね」
「ええ、だからね」
笑顔で言う恵梨香でした。
「私この時のことを忘れないわ」
「それは何よりだね」
「夢が適ったのはいいことよ」
ドロシーは恵梨香ににこりと笑って応えました。
「とてもね。ただね」
「ただ?」
「一つ適ってもね」
その夢がというのです。
「それで終わりじゃないわよ」
「夢が一つ適っても」
「そう、また夢が出来るから」
寝ている時に見る夢とはまた別の夢がです、ドロシーはクッシーを観られて感激していおる恵梨香に言うのでした。
「その夢を適えるのよ」
「秘湯の梅が適えば」
「また一つの夢をね。そして夢はね」
さらにお話したドロシーでした。
「ずっと見られるのよ」
「ずっとですか」
「大人になってもね」
「私達が大人になっても」
「子供の時の心を失わないと」
そうであればというのです。
「出来るのよ」
「そういえば」
ここで、です。恵梨香は教授とカエルマンにお顔を向けました。オズの国の大人である彼等を。
そしてです、こうも言いました。
「魔法使いさん、キャプテン=ビルも」
「あの人達がそうね」
「はい、大人になりましても」
「子供の時の心を忘れていないわね」
「はい」
その通りだとです、恵梨香はドロシーに答えました。
「ボームさんもそうですし」
「その心を忘れていないとね」
「夢はですね」
「また出来るから」
「一つ適えて」
「また一つ適えるのよ」
こう恵梨香に言うのでした。
「新しい夢をね」
「そうすればいいんですね」
「そうよ、クッシーを観たらね」
「また次の夢を適える」
「そうしていくものよ」
「子供の心を忘れないことですね」
「そのことが大事なの」
大人になってもというのです。
「まずはね」
「そうなんですね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「ええ、クッシーと会ってね」
そしてというのでした。
「お話してみたくない?」
「オズの国の生きものだから」
「そう、お話出来るわよ」
ドロシーは恵梨香にこのこともお話しました。
「してみる?」
「はい」
恵梨香はドロシーにすぐに答えました。
「それじゃあ」
「ええ、じゃあね」
「今からですね」
「クッシーとお話しましょう」
こうしてです、一行はクッシーとお話をすることになりましたが皆で声をかけてみるとです。
クッシーは気さくに応じてです、こう言ってきました。
「僕に何の用かな」
「うん、ここの暮らしはどうかとね」
「聞きに来たのかな」
「そうなのだよ」
教授は自分にお顔を近付けてきたクッシーに答えました。
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