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オズのトト
第十幕その五

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「いないわよね」
「ううん、どうかな」 
 教授は少し考えてから恵梨香に応えました。
「ここはオズの国だからね」
「いるかも知れないですか」
「恐竜もいる国だからね」
「はい、そうですよね」
「他にも不思議な生きものが一杯いるし」
「そう、だからね」 
 それでというのです。
「ひょっとしたらね」
「この湖にも」
「いるかも知れないね」
 そのクッシーがというのです。
「あくまで若しかしたらだけれど」
「いるかも知れないですか」
「そしていないかも知れない」
「どちらの可能性もありますか」
「それを言ったら本土の山でもだね」 
 あちらの山でもというのです。
「未確認の生きものがいるかも知れないから」
「日本では」
「中々言えないよ」
「ツチノコはいましたけれど」
 恵梨香はこの蛇を思い出しました。
「オズの国に」
「そうだったね」
「それじゃあクッシーも」
「ひょっとしたら」
 可能性としてはというのです。
「いるかも知れないですね」
「そうだよ」
「可能性の問題ですか」
「この湖にはいないかも知れないけれど調べてみようか」
「はい」
 恵梨香は教授に頷いて答えました、そしてです。
 湖に近付いてです、教授は懐から掌サイズの潜水艦を出してそのうえでこう皆に言いました。
「この潜水艦にはカメラがあってね」
「そのカメラで、ですね」
「湖の中を見られる」
「そうなんですね」
「これでお水の中を見られるんだ」
 湖の中もというのです。
「だからね」
「そのカメラを使って」
「そして、ですね」
「クッシーがいるかどうか調べる」
「そうされますか」
「他の生きもの達もだよ」
 つまり湖の中全てをというのです。
「そうするよ」
「わかりました」
「それじゃあですね」
「今から湖の中に」
「その潜水艦を入れますか」
「そうするよ」
 こう言ってでした、そのうえで。
 教授は潜水艦を湖の中に入れようとしました、けれどその前に湖の水面が大きく揺れてでした。
 首の長い大きな恐竜が出てきました、恵梨香はその恐竜を見て目を丸くさせて言いました。
「あっ、この恐竜が」
「クッシーだよね」
「ええ、そうよ」
 こうトトに答えました。
「まさか本当にいるなんて」
「オズの国だからね」
「いるのね」
「恐竜もいる国じゃない」
 さっきお話した通りにというのです。
「だからだよ」
「恐竜もいて」
「クッシーもいるんだ」
「そうなのね」
「うん、よかったね」
「ええ、クッシーを観ることがね」
 恵梨香はトトに目を輝かせて答えました。
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