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とある科学の傀儡師(エクスマキナ)
第101話 九尾
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いないようで頭に盛大にクエスチョンマークを浮かべて煙を吐き出している。
「……二三確認良いかな……サソリの父上さん」
木山がタイピングを休めてテーブルの上で指と指を重ねて居直った白井へと質問をぶつけ始めた。
「サソリ君は今どこにいる?」
「……地獄……ですわ」
「そこから呼び戻すのにゼツを使うって事かしら?」
テレスティーナが監視カメラから戦闘の様子を録画した映像を眺めていた。何もない空間からの攻撃に吹き飛ばされる鎧武者。その前にぼんやりとした影の動きを一時停止、早戻し、再生を繰り返して正体の憶測、予想を立てている。
「それは非常に倫理観が欠如、逸脱した方法かな?」
「……そうなり……ますわ」
子を助ける親の気持ちというのは成ってみなければ分からないが生徒と先生で置き換えてみれば多少は理解できるような気がした。

サソリに予期せぬアクシデントが起きてしまって、なんらかの事情で戻ることができないでいる。
それを解消するのがあの全ての元凶である『ゼツ』を使うのであれば一石二鳥と言わざるを得ない。
ただ、それが本当にそうであるかどうかだ……
それは不可能な方法だと定義されていることだ。誰も成功した事がない代物であると同時にサソリ君の今の状況が思っていたよりもずっと……

「分かった。多少強引でも構わない……失敗したら私が責任を取ろう」
「!?先生」
「言うわね……権限が下りたわよ。さっさと準備開始よ」
「上手くいくと良いが……」
木山は数か月前に起こした学園都市を巻き込んだ幻想御手事件の自分なりのけじめを取る為に詳しく内容を確認せずにGOサインを出した。救いたいという事にふさわしい理屈や理由、動機付けなんていらないしジッとなんてしていられないのは木山自身も痛いほど分かっている。
迷わずにやるべきだ。

「信じてくれますの?」
「私は嘘を見抜くのが得意なんでね。貴方は嘘を付いていない」

目で合図をすると畜生道は印を結んで『口寄せの術』と言って白ゼツの身体を病院の談話室に投げうたせた。残りの六道も順次呼び寄せて逆転の手札を増やしていく。

******

反転したサソリの出現により一転劣勢に持ち込まれた黒ゼツは息を切らしながら穢土転生の身体の回復を待った。ビルの屋上の淵に引っ掛けるようにサソリのマダラ人形が腕組みしながら路地裏の小さな道を高速で移動していく根っこのような何かを捉えて一瞬で人形を移動させると地面に腕を突き刺した。芯を掴むと周りの張り巡らされた血管のような根ごと引きはがすように半分の黒ゼツを地上へと引き上げた。
「何処に行くつもりだ?」
「!!?」
黒ゼツに取っては衝撃だった。蜉蝣の術が敗ったのはこのサソリで初めてだったからである。
蜉蝣……己の肉体を草木と一体化させて高速で移動する術で
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