16話→そして、世界は間違える
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その時、誰もがこの事件の全体像を把握出来なかった。
踏みしめる月の大地で、ぶつかり合う二つの黒い機体。
「どうした?楽勝ではなかったのかい?太郎くぅん?」
「俺を名前で呼ぶなクソ社長め!」
「はっ!当てが外れて残念だったねえ。便利なものだよ、連戦による疲労も、加速による重力も、関係ないこの体はね?これで貴様を半殺しにして、兵器鎮圧で弱った二人を脅せば、私の管理する新世界は間近さ」
狂気と暴力が渦巻く戦いが月であった。
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「……これで100機!次はどこを潰せば良い?」
「もう送った!人命救助はこちらでやるから、ちーちゃんは敵を潰すのに専念して!」
声を張り上げる千冬に、即座に答える束。
後に、『白騎士事件』と呼ばれる戦場の最中に、彼らはいた。
話す間にも、粛々とミサイルは放たれる。
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「おい!どういう事だ。何故我が国の兵器が、『勝手に』動いている?」
ある国の上官がそう怒鳴り立てても、技術士官にしてみれば困惑するしかない。
『オフライン』であるはずのイージス艦や自動戦闘機の操作を奪うなど、魔法のような現象をどう説明していいか、分からないのである。
トロイの木馬を仕込んだにしても、明らかに対処している人型兵器に向けて撃つ武器の照準が合いすぎている。
「失礼ですが反乱の線は?」
「今乗っているのは、宿直の入隊半年以下のボウズ二人だけだ。しかも先輩兵士に当番を無理やり変更された……な。動かす所かパスワードの一つも分からんよ」
「では何故、動いたんですか?」
「それを調べるのが貴様らの役割だ。俺達の首が繋がっている間にな!」
理由が分からなくとも、兵器は『そこ』にあった。
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『ふふっ、やっぱり、花火は沢山射った方が楽しいわね。たーまやー!』
世界初の『触れたら感染する』特性を持つ自立ウイルスプログラム、『クリス』。
かつて、ダイナマイトや核を、開発者の意に沿わぬ形で悪用した者達のように。
まるで科学に寄りかかった人類に対するアンチテーゼとして、彼女は『そこ』に確かに存在していた。
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「…………一夏か?」
荒い息を整えながらそう口にする義兄に、最初に一夏が覚えたのは違和感だった。
兄は、あまり自分の動揺や疲れを表に出さない。
それは外だとより顕著で、少なくとも兄がこんな形で電話をするなど、少なくとも自分の記憶にはない。
だからこそ、焦る。
一体、この国に何が起きているのか?
まず、最初の異常は、姉が出ていった早朝から数時間後に起きた。
ミサイ
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