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いたくないっ!
第五章 じょじょじょ
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ま、黒縁眼鏡の奥でちょっと困ったように微笑んでいる。

「いやいやいやいやいやいやいやいや」

 三人は、右手をぱたぱたしながらベンチへと戻り、先ほどと同じフォーメーションで座った。つまり、定夫とトゲリンでベンチぎっちぎち、女子生徒とガリガリ八王子はスッカスカだ。

「どっどっ、どのように呼ばれているかは別として、せせっ拙者たちがっ、そのその三人であることは、事実としては相違ないようではあるが」

 トゲリンが代表して返答。つっかえつっかえであるが。

「でもなあ、有名な三人、とかいわれてもな。ぼくたち、ただアニメの話をしているだけなのにね」
「だよなあ」

 ぼそぼそぼやく八王子と定夫。

 それを聞いた女子生徒は、ニコリ微笑みながら、

「他の人たちがどう思っているかは知りませんけど、その、アニメの話をしているというのが、いいなーって思ってたんですよねえ、あたし。……羨ましいなあって」

 定夫の胸に、ズンだかガガーンだか、衝撃の旋律が走った。要するに、驚いたのである。

 アニメを嫌悪していないということに。
 自分達にそうした嫌悪の感情を向けないどころか、どちらかといえば好意的であるということに。

 だが、驚くのはまだ早かった。
 ズンでもガガーンでも表し足りない衝撃的な言葉を、女子生徒は続けたのである。

「あと、アニメを自分たちで作っているなんて、凄いなあって」

 と。
 眼鏡の奥の彼女の瞳、本当に心から凄いなあっと思っているような純粋な眼差しであった。

「よ、よ、よ、よく、そそっく創作っ、してしているなどるどっ」

 驚きの表情で、座ったままぐいっと身を乗り出そうとする定夫であるが、腹の脂肪が引っ掛かって乗り出せず、諦めて立ち上がった。
 じろ、と額から脂肪の汗が滲み出て、袖で拭った。

「ああ、あたしの知識にない人名が出ていたから、じゃあ、ひょっとして、作っているのかなあ、っと」

 えへへ、と女子生徒は笑い、頭をかいた。

 彼女のその言葉に、トゲリンと八王子は素早く立ち上がり、既に立っていた定夫とともに、ベンチから飛び退いた。
 何故だか知らないが横っ飛びで、たんっ、たんっ、たんっ、と。

 三人は、顔を突きつけあって、こそこそひそひそ。

「知識にないから、即、創作系」
「事実としては、まことその通りではあるが」
「アニメ知識に相当な自信がある、ということだよね。実際あるかは別として、自信は凄い」
「すなわち、アニメ好きだということか」
「すなわち、同じ……畑」
「すなわち、拙者どもを壊滅させる部隊の先陣、鉄砲玉、ではない、ということでござるのか」

 トゲリンのこの言動、やはり彼も定夫とまったく同じ思考であったようである。ま
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