第三章
[8]前話
「なかったですか」
「そうだったかも知れないわね」
「そうなんですね」
「実際に名前を変えたら急に売れたって話もあるの」
「実際にですか」
「そうなのよ」
こう咲に話すのだった。
「だからね」
「芸名も大事なんですね」
「そうよ、あっさり本名使ってもいいけれど」
「売れる為にはですか」
「工夫も必要なの」
「そういうことですね」
「そう、それで咲ちゃんもよ」
咲本人に話した。
「変えたの」
「芸名はああしたんですね」
「北川から北野にね」
「それでメインまでなれた」
「これからも頑張れるかもね」
「そうですか、じゃあ」
意を決した顔になってだ、咲は多香美に話した。
「私これからもこの名前で頑張っていきます」
「あの芸名でね」
「そうしていきます」
「そうしてね、じゃあメインヒロインの役をね」
「頑張っていきます」
多香美に目を輝かせて答えた、そして咲はその役を好演しここからまた別の作品のメインヒロインの役に選ばれ事務所の看板声優の一人にまでなった。
咲は高校を卒業して成人になってからも声優を続け人気声優の一人にまでなったがそれで思うのだった。
「本当に芸名って大事ね」
「ああ、そうだな」
「たかが芸名っていうけれどな」
両親に夕食の時に言ってその両親に応えられた。
「それでも変えただけでね」
「ここまでなったならな」
「そりゃ咲ちゃんの実力もあるけれど」
「実力だけで何でもなれるか」
「そうもいかないからね、世の中って」
「そうだからな」
それでとだ、二人で咲に話す。夕食のニラレバ炒めとプチトマトそれに豆腐の味噌汁を楽しみながらだ。
「だから芸名で運勢が変わるなら」
「そうならそれでいいな」
「咲ちゃんは声優さん続けられてるし」
「しかも人気声優だからな」
「そうよね、名前一つでそうなるものでもあるのね」
咲もしみじみとした口調で言った。
「運勢が開ける」
「名前でその人の運勢が変わるって不思議だけれど」
母は娘の顔を見て話した。
「それでもそうしたことがあるのも世の中ってことね」
「そうよね、じゃあこれからも」
「その名前で頑張っていくのね」
「そうするわ」
「よし、じゃあ頑張れ」
父も咲に暖かい声を暖かい笑顔でかけた。
「これからもな」
「そうするわね、明日は事務所でマネージャーさんと次のお仕事のお話を朝からするけれど」
多香美と、というのだ。
「頑張ってくるわ」
「ああ、そうしろ」
「その名前でね」
二人で咲に言う、そして咲は北野咲として活動を続けていった。声優として成功しているその名前で。
名前を変えただけで 完
2017・9・19
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