心理と歴史
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
ヤン提督の第一志望は、戦史研究科。
年金は貰いたいけど、艦隊指揮官として腕を揮い、栄達する事は望んでいない。
個人が歴史に影響を及ぼす事は否定できない、と思うんだけど。
奇蹟の魔術師は歴史を研究して、逆転の発想を『可能性あり』と判断した。
物質を構成する個々の原子、分子の運動を予測する事は不可能だけど。
膨大な原子や分子の結合した物質の特性、一定の法則を解析する事は可能。
上手く言えないけど、そんな感じ?
数百億に達する人類全体の感情的、心理的な反応なんて計算できるのか?
そんな声が聞こえて来そうだけど、数々の奇跡を演出した魔術師の反応は違った。
本当に参考になったのか、良く解らないけどね。
幾度も僕に質問を浴びせ、最高の笑顔を見せてくれたよ。
ヤン提督は異世界の魔術、心理歴史学《サイコ・ヒストリカル》に共感したらしい。
相手の意図、期待、願望に基き『金貨を罠の上に置く』魔術との類似性を見出したんだ。
ローエングラム侯に面談を求め、或る構想の実現に向け動き出した。
ゴールデンバウム王朝の皇帝、門閥貴族達が繰り返した愚行の再現を防ぐ秘策。
心理学と歴史を学び戦略的視点を磨く研究、優秀な人材の養成機関。
銀河帝国公認の歴史学研究機関、財団《ファウンデーション》が設立された。
アスターテ会戦で同盟の提督は判断を誤り、兵力を分散して撃破されたけど。
第四艦隊が連絡を絶った時点で、第二艦隊と第六艦隊が合流すれば。
約2万8千隻で兵力の優勢を実現して、約2万隻の帝国艦隊に挑む事が出来た。
判断を誤る最大の要因が何か、って事は一概に言えないけど。
正常な判断の出来ない感情的暴走《ヒステリー》、思考停止状態に陥る時は。
不安や恐怖の感情が昂り、恐慌状態《パニック》になる事が多いみたい。
じゃあ、どうすれば、感情の昂り、暴走を鎮める事ができる?
『怒り』を制御《コントロール》する、心理療法プログラム。
アンガーマネジメント、と関係があるかはわからないけど。
様々な刺激に対する反射的、本能的な反応を制御する方法。
『視床・皮質的停止』の《非A》、非アリストテレス的論理も魔術師を刺激した。
ヤン提督は感情に惑わされない為の能力開発組織、非A主義の研究機関も設立。
一般意味論協会の看板を掲げ、多種多様な人材を集めた。
史上稀に見る〇〇〇の撃墜王ポプラン、シェーンコップ隊長もね。
双璧と尊称された両者の特技は高く評価され、様々な研究の対象となった。
ローエングラム侯は優秀な人材の発掘、育成に協力を惜しまず資金を援助。
既成の常識を打破する常勝の天才、不敗の魔術師に倣い可能性を広げる為に。
2つの研究所には鋼鉄
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ