第六章
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「それでもね」
「言われてみればそうかもって思えるわね」
「俺のいけてるファッションに文句を言うのかよ」
及川自身はこう思っていて言葉にも出した。
「わかってねえな」
「いや、本当におかしいから」
「その何ちゃってサプールは」
「冗談抜きで止めたら?」
「馬鹿にしか思えないわよ」
「本当にわかってねえな、俺のセンスが。しかしな」
ここでまた言った彼だった。
「うちの店妖怪も来るんだな、成程な」
「それだけ?妖怪が来ても」
「何か変なことするか?」
及川は万里花に冷静な声で返した。
「あのお婆さん」
「飲んで食べて帰るだけよ」
「毎日そうよ」
万里花だけでなく紗季も答えた。
「本当にそれだけよ」
「何もないわ」
「そうだろ、だったらな」
それならとだ、また言う及川だった。
「別にいいだろ、むしろ酒乱とかゴロツキが来るだけましだろ」
「そうしたお客さんはね」
「冗談抜きで迷惑よ」
「そうしたお客さんは店長さんが応対してくれるけれど」
「ちゃんとね」
日本人だがシルベスタ=スタローンしかもランボーを演じていた時の彼に生き写しの店長だ、実際に相当に強い。
「そうしてくれるけれど」
「確かにそうしたお客さんは迷惑ね」
「だったらいいだろ、別に妖怪が来てもな」
平然と言う及川だった。
「だからね」
「いいっていうのね」
「そうなのね」
「そうだろ、迷惑行為しないとな」
妖怪が客で来てもというのだ。
「別にな」
「それもそうね」
「オイッチの言う通りね」
「そうだろ、じゃあまた明日な」
こう言ってだ、そしてだった。
及川は店を後にした、その後で万里花は紗季に言った。
「言われてみればね」
「そうよね」
紗季も万里花に応えて言う。
「あのお婆さん静かに飲んで食べてるだけだから」
「それじゃあね」
「別にね」
「何もね」
「変に思うことはないわね」
「妖怪でもね」
「これといって」
二人で話す、そしてだった。
老婆の勘定には万里花が行って見送った、老婆は次の日もその次の日も店に来て飲んで食べた。ごその姿はごく普通の客の姿で人間と全く変わっていなかった。
それでだ、万里花は学校で紗季に話した。
「オイッチの言う通りね」
「そうよね」
「妖怪でも迷惑行為しなかったら」
「別にいいわね」
「むしろ酒乱とかヤクザ屋さんよりもね」
「ずっといいわ」
こうした人間の方がというのだ。
「本当にね」
「そうしたものね」
「オイッチもたまにはいいこと言うわね」
「馬鹿だけれどね」
「何ちゃってサプールだけれど」
「それでもね」
「たまにはいいこと言うわね」
二人で及川のことも話した。
「じゃあ私達もね」
「あのお婆さん
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