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ランス 〜another story〜
第3章 リーザス陥落
第104話 魔王ジル
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 ノスがそれを許す筈もなく、前に立ちはだかろうとした時だ。


「―――――構わぬ。……なにか、かんじる。……そこを、のけ」
「は、ははっ! ジル様!!」


 ジルを庇おうとしたノスだったが、元々庇う必要などは無い。
 その力、魔王と魔人の力の差は歴然なのだから。確かに今は封印から解かれたばかりで 弱体化極まっているが、それでも 天と地ほどの差があるからだ。


「――――――カオス、ではない。………カオスでは、ない」

「何を訳わからん事を! オレ様のカオスと一緒にオレ様のハイパー兵器をくらえぇぇい!」

 ばっ! と何故か下まで脱ぎ去って飛び上がる姿はまさに変態……だが、そんな馬鹿なシーンでも ここでは通用しない。ジルは一瞥もせずに、ただただゆっくりと歩いていた。

「(なんだ……、なんか 周りがメチャゆっくりに感じるぞ?? なんでオレ様の動きまでスローに、トロくなってるのだ? ……って、これってヤバイ時になるってヤツではないだろうな!!)」

 死の直前に視る走馬燈。 脳が極限にまで高速回転して見せる現象。そのランスの嫌な予感。判っていても止められなかった。もう、止める事が出来なかった。

 ランスに向かって歩き続けるジルと接近する自分自身が。

 そして、触れるその瞬間だ。





「馬鹿野郎! ランスッッッ!!!」




 轟音、そして声が場に響く。

 ランスとジルの間に閃光か何かが光ったかと思えば、そこには1人の男が姿を現していた。


「――――――ぉ」

 ぴくりと、眉が動くジル。
『なにか、かんじる』そう確かに口にしていた。それが全てこの事をさしていたのだろうか。

「ユーリっ……!?」

 漸く動く事が出来たランスは、突然の乱入者…… ユーリに驚きを隠せられないが、流石にやばかったのを悟ったのか、何時も出てくる文句はここではなかった。


「煉獄・奥義……!」


 ユーリは、瞬間移動の如き速度で間合いを詰め、ジルに一閃。

「キサマ……!!」

 ノスでさえ、一瞬遅れる程の速度。この圧倒的な圧力の前でも極限まで気配を殺し、接近したユーリに驚き、咄嗟に庇おうとするが、時の矛盾をまた、感じた。ユーリの方が早く、剣が迫っていると言うのに ジルの動きもゆっくりだと言うのに、ノスを止める様に手をかざしたのをはっきり見たのだ。


 

 その間にもユーリの攻撃は続く。


 放つのは《居合》の一閃。 
 左切り上げを見せ、それは他の魔人同様の無敵結果いに阻まれる。此処で同時にリ・ラーニングを発動。眼を極限にまで凝らし、魔王の結界を視続けつつ 攻撃を続ける。
 力の限り振り上げた剣を強引に止め、斬りおろし
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